第927回:18改定の中央社会保険医療協議会での議論について(在宅医療篇 その1)

香川県保険医協会報の「社保のページ」に、診療報酬に係る内容を連載しています。2017年10月号に掲載した内容です。

今回から、在宅医療を取り上げます。

在宅医療を担う中心である診療所の現状です。

06年に在支診(在宅療養支援診療所)が創設されました。届け出数は07年には1万件を超え、14年には1.47万件まで増加しましたが、その後頭打ちになっています。

在支診の届け出診療所で、実際に訪問診療を行っているのは92%、人数は1~9人が最も多く全体の約30%、全体の約半数が30人未満です。

訪問診療や往診などは、在支診の届け出をしていない診療所(以下、在支診以外と表記)の多くが担っています。診療所の数でいえば、訪問診療では半数近く、往診は60%、在宅での看取りも30%が、在支診以外が担っています。

患者数で見ると、在支診以外が、訪問診療の14%、往診の40%、在宅の看取りが22%を占めており、在支診以外が相当の役割を果たしていることがわかります。

体制面で見ると、在支診の平均的な職員数は、医師が1.3人、看護師は3.7人です。

在宅医療を実際に行っているにも関わらず在支診の届け出を行っていない最大の理由は「24時間の往診体制」です。そのため、今後在支診の届け出を行う予定はないのが83%です。

在宅医療と限りませんが、「地域包括診療料(加算)」を算定している医療機関に対する日本医師会の調査で、負担の大きい点として、50%が「在宅患者に対する24時間対応」と答えています。

一人の医師で24時間対応することが困難であることが、在宅医療の拡大を阻害している実態が見て取れます。