第926回:「負担の公平化」について考える(その6)

地方政治新聞「民主香川」に、「社会保障はどうなるか」というタイトルで、社会保障改悪の内容の連載をしています。2017年9月17日号(第1755号))に掲載した、「負担の公平化」について考える(その3)の後半部分です。

05年からは、「在宅と施設の給付と負担の公平性、介護保険給付と年金給付との調整の観点から」介護保険3施設(※)では、食費及び居住費は、原則として保険給付外となりました。

06年からは、入院時生活療養費制度が導入され、医療療養病床についても、「介護病床と同様に『住まい』としての機能を有していることに着目し、介護保険における食費・居住費の見直しを踏まえ、介護施設において通常本人や家族が負担している食費(食材料費+調理費相当)及び居住費(光熱水費相当)を自己負担化」することになりました(※2)。

「公平」な制度変更といいつつ、常に「高い(重い)方に統一」されてきた訳です。

16年4月から、医療保険における入院時の食費については、次のように変更されました。一般病床の場合、所得区分が一般なら、1食260円から360円に、18年4月からは460円に引き上げられます。毎食460円なら30日で4万円を超しますから、最近話題の「おひとりさまのあったか1ヶ月食費2万円生活」の2倍ということになります。

また、65歳以上で医療療養病床に入院した時の居住費も、医療度の低い医療区分Ⅰの場合、17年9月まで1日320円から、17年10月より370円に引き上げられます。医療区分Ⅰ以外(難病等は除く)は、17年9月まではゼロ、17年10月から1日200円、18年4月からは1日370円と連続して引き上げられます。

なお、上記の食費・居住費は、難病患者や所得により、また長期入院の場合は少し異なる場合があります。

いずれにしても、「公平」と言いながら負担を増やす政策であり、引き上げたことによる影響調査などは一切行われず、「負担ありき」といえます。サイフの中味を気にせず、安心して入院・入所が可能な制度にすべきではないでしょうか。

※介護保険3施設とは、介護老人福祉施設=特別養護老人ホーム、介護老人保健施設=老健、介護療養型病床、を指します。

※2:差額ベッドを是認するわけではありませんが、この論理でいけば、居住費を取ってなおかつ差額ベッドを取ることは許されないことになります。