第924回:療養病棟での抗悪性腫瘍薬の取り扱いについて

香川県保険医協会報の「社保のページ」に、診療報酬に係る内容を連載しています。2017年9月号に掲載した内容です。

療養病棟入院基本料や有床診療所療養病床入院基本料は、投薬・注射の薬剤料は一部を除いて包括点数(いわゆるマルメ)になっています。

包括点数から除かれる薬剤として、悪性新生物に罹患している患者に投与される抗悪性腫瘍剤があります。

薬効分類表によると、Ⅳ.組織細胞機能用医薬品の中の、2 腫瘍薬、として、「421.アルキル化剤、422.代謝拮抗剤、423.抗腫瘍性抗生物質製剤、424.抗腫瘍性植物製剤、429.その他の腫瘍薬」があり、これらが「抗悪性腫瘍剤」です。

これら以外にも、「639.その他の生物学的製剤」のインターフェロンや、「249.その他のホルモン剤」の酢酸リュープロレリンが悪性腫瘍に対する効能を持っており、この取り扱いについては、平成28年3月31日付事務連絡、「疑義解釈資料(その1)」には、以下のようになっています。

医科診療報酬点数表関係の、(問35)「療養病棟入院基本料を算定する病棟において、インターフェロン、酢酸リュープロレリン等の悪性腫瘍に対する効能を有する薬剤を使用した場合、抗悪性腫瘍剤として薬剤料を算定できるか」に対して、(答)「算定できる」となっています。

なお、この根拠となる通知は、平成20年3月28日の事務連絡「平成20年度診療報酬改定関連通知の一部訂正について」の中に、「別紙7 一般病棟用の重症度・看護必要度に係る評価票」があります。その「評価の手引き」として、「9 専門的な治療・処置」「①抗悪性腫瘍剤の使用」として、「抗悪性腫瘍剤は……作用機序から、……5)ホルモン、6)その他(インターフェロン製剤含む)に分類される」となっています。

この問題に対する会員からの質問を元に、今回の文章を作成しました。