地方政治新聞「民主香川」に、「社会保障はどうなるか」というタイトルで、社会保障改悪の内容の連載をしています。2017年5月21日号(第1743号)に掲載した、「経済・財政再生計画」にみる患者利用者負担増(3)、の後半を再掲します。
(承前)
3割負担になるのは、昨年2割負担に引き上げられた45万人のうち一定の所得のある12万人が2018年8月より対象となります。2015年8月に2割負担に引き上げられ、負担に耐えられず、特別養護老人ホームを退所したり、サービス利用を控えたりする事態が続出しています。こうした実態や「介護離職」「介護難民」が社会問題化する中で、「制度の持続可能性」を追求するために、さらに利用者や家族に一層の負担を迫るのは本末転倒な施策です。
また、全市町村が介護の「自立支援・重度化防止」にとりくむことを制度化し、介護費用を抑制した市町村に対しては国の財政支援を手厚くすることは、介護保険からの無理な「卒業」や「門前払い」を加速させ、当時者や家族の負担増につながる懸念があります。
さらに、「地域共生社会」の名の下、高齢者、障害者(児)などへの施策をひとくくりにして行う「我が事・丸ごと」地域共生の社会づくりでは、社会福祉法に「福祉サービスを必要とする人たちが孤立しないよう、地域住民が支援する」条文を新設しました。地域住民に対して「自助・互助」の役割を求めており、国と地方自治体の公的責任の後退は明らかです。
地域福祉・地域医療のありかたを大きく変える法案を当事者の声や地方自治体、国民の意見を聞く機会も設けないまま、わずかな審議時間で強行採決したことは許されません。