第907回:「経済・財政再生計画」にみる患者利用者負担増(その5)

地方政治新聞「民主香川」に、「社会保障はどうなるか」というタイトルで、社会保障改悪の内容の連載をしています。2017年5月21日号(第1743号)に掲載した、「経済・財政再生計画」にみる患者利用者負担増(3)、の前半を再掲します。

第904回(7月21日付)まで、15年12月の経済財政諮問会議で決定された「経済・財政再生計画 改革工程表」に基づく、17年度予算について医療分野を中心に触れました。

今回は、介護分野を中心にした内容ですが、18年以降に関連したものです。

18年からの介護保険改定に関連する法案は、「地域包括ケアシステム強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」(以下、介護保険「改正」法案)です。この法律は、介護保険法だけでなく、健康保険法、児童福祉法、医療法、社会福祉法、老人福祉法、高齢者の医療の確保に関する法律、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律など31もの法律を一括して「改正」するものです。

さらに、法案の最後には「その他所要の改正を行うこと」と書いており、細かい点は政令等で定められることになっています。そのため、詳細な内容は明らかになっておらず、十分な審議時間を必要とする法律です。

4月12日の衆議院の厚生労働委員会で、民進党議員が「森友学園問題」を取り上げたため、「この重要な介護の法案と全く関係のない話をされたということが、十分な質疑が行われたことの証拠ではないか」(田村憲久前厚労相)として、採決を強行しました。与野党はもともと、4月14日まで議論を続ける日程を協議していた訳ですから、わずか20時間の審議での強行採決は許されません。

さらに、本会議ではわずか2時間の審議で、政府与党は、4月18日の衆議院本会議で介護保険「改正」法案の採決を強行しました。
介護保険「改正」法案は、

①一定所得のある人の自己負担割合を3割に引き上げる

②保険料の「総報酬割」の導入

③「我が事・丸ごと」地域共生の社会づくりに向け、高齢者、障害者(児)などの施策に対する公的責任を後退させる仕組みづくりを狙ったものです。

(次回に続く)