第888回:「いわゆる共謀罪」法案衆議院採決強行に抗議し、採決の撤回を求めます

5月23日、自民・公明与党は日本維新の会とともに、衆院本会議での、共謀罪法案の採決を強行しました。私は、日本医療福祉生協連の代表理事会長理事として、下記のような抗議声明を発出しましたので、紹介します。

2017年5月23日

「いわゆる共謀罪」法案衆議院採決強行に抗議し、採決の撤回を求める

日本医療福祉生活協同組合連合会
代表理事会長理事 藤原 高明

「いわゆる共謀罪」の主旨を盛り込んだ組織的犯罪処罰法改正案は、19日の衆議院法務委員会に続き、23日の衆議院本会議でも採決の強行が行われ、与党と日本維新の会の賛成によって可決し、参議院に送られることになりました。医療福祉生協連は、数の力によるこの強引な国会運営に抗議し、採決の撤回を求めるものです。

そもそも、与党は、国際組織犯罪防止条約締結に不可欠な法案と主張していますが、野党側は共謀罪法案は必要ないとの立場をとっています。

政府は「オリンピック開催に不可欠」と主張して法案の成立を急いでいますが、なぜ、現在の法制ではテロ行為やその準備行為は取り締まることができないのか、国民の理解は置き去りにされたままです。

この法案の目的は、警察の捜査権を拡大して内心の自由を脅かし、監視の強化や国民どうしの密告を奨励することであり、国民が「物言えぬ」社会をつくることになることが懸念されます。

一般人の日常行動と犯罪者のテロ等準備罪の要件となる行動の境目は極めてあいまいなままです。捜査権の乱用を防止するための仕組みづくりなどの議論はほとんど行われていません。

衆議院での審議において、法案の問題点や矛盾が次々と指摘され、議論が尽くされたとは言えません。

衆議院での政府答弁内容やその態度を見る限り、このまま法案が参議院に送られても十分な審議が保障されるとは限りません。国会が立法の府・言論の府の役割を取り戻すためには、「いわゆる共謀罪」の衆議院本会議での採決を撤回するしかありません。

医療福祉生協連は、日本国憲法が保障する内心の自由、言論・表現の自由に抵触する、「いわゆる共謀罪」制定を目的とした組織的犯罪処罰法改正に改めて反対すると共に、採決強行に抗議し、採決の撤回を求めるものです。

以上