【談話】日本国憲法施行70年、沖縄の本土復帰45年に寄せて

2017年5月3日

日本医療福祉生活協同組合連合会
代表理事会長理事 藤原 高明

北朝鮮の軍事挑発行動に対して「全ての選択肢がテーブルにある」とする米トランプ政権は、空母打撃群を韓国沖に展開し一触即発も指摘される状況をつくっています。政府は自衛隊に対して、米空母打撃群との共同訓練を行わせ、安全保障関連法にもとづく平時の米軍艦船護衛を命じました。こうした日本の平和と安全に関わる緊迫した情勢が続く中で、日本国憲法は施行70年を迎えます。

70年前、第二次世界大戦によって焦土と化したこの国の人びとにとって、日本国憲法は大きな希望でした。憲法9条の「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求」するという宣言は、世界とアジアに大きな被害をもたらした自らの行動への反省であり、「この憲法のもとで平和と人権の国を建設する」という、世界の人びとに向けた決意のメッセージでもありました。

その日本国憲法の平和や人権を享受できないまま、戦後27年間にわたって米軍の占領下におかれた沖縄は、この5月15日に本土復帰45年を迎えます。県民の4人に一人が犠牲になったといわれる沖縄戦が終わり、生き残った県民を待っていたのは米軍の苛酷な支配でした。憲法9条を持つ日本への復帰を願い、島ぐるみの大闘争を経て1972年5月15日に施政権が返還されましたが、県民の願いに反して米軍基地は残され、奪われた土地は戻りませんでした。そして今日、政府は期限切れとなった岩礁破砕許可を更新する法的手続きを無視して辺野古新基地建設を強行し、沖縄の人びとに新たな苦しみと分裂をもたらしています。基地負担を押し付けられ、米兵による犯罪で人権を踏みにじられる事件が続く沖縄には、復帰後45年を経てもなお日本国憲法は活かされていません。

施行70年を迎え、憲法改正に向けた議論が始まっていますが、その賛否をめぐる世論は拮抗しています。憲法9条をめぐっても意見は分かれ、「9条改正賛成」も一定の割合を占めています。北朝鮮や中国の行動によって日本周辺の緊張が高まる中であっても、日本国憲法の原則とそのもとで日本がとるべき行動を忘れ、沖縄の現実に目をつぶるようなことがあってはなりません。

「健康をつくる。平和をつくる。いのち輝く社会をつくる。」という医療福祉生協の理念には、多くの先輩たちが事業や活動を通して実現しようとした願いが込められています。それは、情勢や環境がいかに変わろうとも守り抜かなくてはならない、平和・人権や民主主義など日本国憲法の原則に重なるものです。

私は、医療福祉生協の理念を具体化することは、日本国憲法を守り活かすことであることを確信します。そして復帰45年を迎えた沖縄が米軍基地の負担によってこれ以上蹂躙されることの無いよう、全国の会員生協と連帯したとりくみをすすめることを改めて決意するものです。

以上