第863回:診療報酬改定の全体像 入院医療について(その1)

地方政治新聞「民主香川」に、「社会保障はどうなるか」というタイトルで、社会保障改悪の内容の連載をしています。2016年10月16日号(第1722号)に掲載した「社会保障はどうなるか(10) 診療報酬改定に見るこれからの医療(6)」の前半部です

2014年6月に公布された「医療介護総合推進法」(正式名称は、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律)により、15年4月より都道府県が「地域医療構想」を策定しています。具体的には、各病院が、自院の病床の機能を「高度急性期機能」「急性期機能」「回復期機能」「慢性期機能」から選ぶことになっています。

13年現在で全国に135万床ある入院病床を、25年には、高度急性期機能病床を13.0万床、急性期機能病床を40.1万床、回復期機能病床を37.5万床、慢性期機能病床を24.2万~28.5万床とし、合わせて115~119万床程度に20万床の削減を行う計画です。

今回の入院点数は、7:1入院基本料(注1)の基準をより厳格化し、急性期で重症の患者が入院対象となるように仕向けていくような仕組みになっています(今回は一般病棟の例示です)。

具体的には、患者像を表す「重症度、医療・看護必要度」を変更し対象患者をより明確化、算定病棟における該当患者の割合を15%から25%に引き上げることになりました(16年3月現在の届出機関で、200床未満の病院は、18年3月までは23%に緩和されます)。

看護師の手を取る処置が「A項目」で、傷や床ずれの処置、同時に3本以上の点滴をしている、心電図モニターをつけている、器械を使って点滴の管理をしている(シリンジポンプの使用)、抗がん剤や麻薬など専門的な医療を受けているなど。「B項目」は、患者の日常動作に関するもので。寝返りに介助が必要、食事や更衣に介助が必要など。

これらの項目に1点または2点の点数をつけ、A項目が2点以上かつB項目3点以上を、重症者と判定し15%以上が必要でした。

(次回に続く)