第842回:診療報酬のページ(2)薬剤をめぐる改定

香川県保険医協会報の「社保のページ」に、診療報酬に係る内容を連載しています。「飛来峰」で掲載した内容と重複する内容が大半ですが、再掲します。

2016年5月号に掲載した内容です。

第840回(11月4日付)では、湿布薬の処方枚数制限について触れましたが、投薬に関しては、これ以外にも変更があります。

これまで投薬日数については、発売1年以内の新薬、麻薬、ベンゾジアゼピン系薬剤のように投薬日数制限のある薬剤を除き、「予見することができる」範囲で処方可能でした。要するに医師の判断でいくらでも処方が可能でした。今回の改定で「30日を超える長期の投薬を行うに当たって」医師の判断が必要と、原則30日投薬となりました。もちろん、患者への説明とカルテ記載がきちんとしていれば、30日を超える投薬が可能です。

また、「分割指示に係る処方せん」の交付が可能になりました。例えば、90日分処方して、処方せんの備考欄に「3回に分割、1回あたり30日分」と書けばよいということなのですが、30日たっても患者が取りに来なかった場合どうするかは明確ではありません。そもそも30日後にきちんと取りに来ることが想定できる方なら分割の必要はない訳ですから、果たして定着するかどうかは疑問です。

向精神薬の多剤投与に係る減算規定が変更になりました。抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬、抗精神病薬などの処方が多い場合(向精神薬多剤投与)、処方料が42点から20点に、薬剤料が80%に減額、処方せん料が68点から30点に減額となります。この基準が抗うつ薬、抗精神病薬は従来4種類以上で適用されましたが、これが3種類以上になり基準が厳しくなりました。

さらに、抗精神薬多剤投与に係る報告書を3カ月に1回地方厚生支局等に届けでる必要があります。