第837回:高薬価薬剤について考える

第820回(8月19日付)で「ニボルマブ」という抗がん剤の薬価について触れました。

この薬剤は、「根治切除不能な悪性黒色腫(3週に1回)」に投与する薬剤で、対象患者を470人として申請があり、2014年9月に100mg/10mlで729,849円の薬価が設定されました。

問題の1番目は薬価の算定経過が不透明だということです。薬価は厚労省の薬価算定組織が算定し中医協(中央社会保険医療協議会)で決定されますが、「算定組織」の会議は非公開で議事録もないことが、6日の参院予算委員会の小池参院議員(共産)の質疑で明らかになりました。「製造原価も研究開発費も企業の言い値のうえ、60%の利益率加算まで」認められています。

さらに、2015年12月に「非小細胞肺がん(2週に1回)」に適応が追加され、対象患者は数万に増えたものの薬価は据え置きとなり、問題になりました。

この薬剤は海外でも販売されていますが、諸外国と比較しても異常に高いという問題もあります。保団連(全国保険医団体連合会)が9月6日に記者会見で明らかにしたところでは、英国が150,234円(日本の6分の1)、米国が297,832円(日本の2.5分の1)です。

異常な高薬価の薬剤算定のあり方にメスを入れなければ、保険財政は破綻してしまいます。高価薬剤の薬価算定に対する、新たな仕組みを作るべきです。