第835回:診療報酬改定の全体像 外来医療について(その2)

地方政治新聞「民主香川」に、「社会保障はどうなるか」というタイトルで、社会保障改悪の内容の連載をしています。2016年9月18日号(第1719号)に掲載した「社会保障はどうなるか(9) 診療報酬改定に見るこれからの医療(5)」の前半部です

第825回(9月6日付)で、高齢者や認知症患者対応の「地域包括診療料」「認知症地域包括診療料」について触れました。「地域包括診療料」を算定する際に「慢性疾患の指導に係る適切な研修を修了した医師」、という要件が定められました。具体的には「日本医師会生涯教育制度に係る研修について、2年間で通算20時間以上の研修を受講すること。また、20時間の講習の中には、カリキュラムコードとして 29認知能の障害、74高血圧症、75脂質異常症、76糖尿病を含んでおり、それぞれ1時間以上の研修を受講」しなければならないとされました。

「日本医師会生涯教育制度」とは、いったん医師免許証を取得すると生涯にわたって更新が不要のため、医師会として生涯にわたって自己研修を行う仕組みを作ったものです。連続した3年間の単位数(30分で0.5単位)と、医師会の定めたカリキュラムコード数(84種類あり、同一コードは加算不可)の合計数が60以上の者に「日医生涯教育認定証」を発行する仕組みです。

「地域包括診療料」は、医師会の定めたカリキュラムに基づいた研修制度を受けて初めて算定できる点数、ということになります。

「地域包括診療料」「認知症地域包括診療料」は、いずれも、「定額制」「主治医制」導入の側面を持ちますが、小児分野でも同様の仕組みが始まりました。

(次回に続く)