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地方政治新聞「民主香川」に、「社会保障はどうなるか」というタイトルで、社会保障改悪の内容の連載をしています。2016年8月21日号に掲載した「社会保障はどうなるか(8) 診療報酬改定に見るこれからの医療(4)」です。

厚生労働省は、「2025年を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けること」を目標に「地域包括ケアシステム」(地域の包括的な支援・サービス提供体制)の構築を推進しています。

このシステムを医療の面で評価するために、14年4月から、「地域包括診療料」「地域包括診療加算」を導入しました。

「地域包括診療料」は、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、認知症のうち2つ以上の疾患を有する患者が対象で、再診料や検査、レントゲンなどの画像診断、訪問診療などは包括化(マルメ)される一方、1カ月に約1万5千円の収入になるというものです。

診療所の場合、この点数を算定するには、3人以上の常勤医師が勤務、24時間電話対応が可能、在宅療養支援診療所であることが要件で、かなりハードルが高いものでした。地域医療の中核を担う大半の無床診療所では医師数の要件を満たすことができないという問題がありました。

また、主治医を決めるため同じ医療機関であっても他の医師が診察した時には算定できないなどの条件があり、14年7月時点での届け出件数は全国で122施設しかなく、15年7月には93施設に減少してしまいました。四国では、香川県、愛媛県、高知県に各1施設、徳島県ではゼロでした。

「かかりつけ医」機能の評価として、「主治医」を明確にするものですが、考えてみると、疾病の有無や内容に関係なく「高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援」を目的とする「地域包括ケアシステム」と、上記の4疾病のうち2つ以上を持つ患者が対象になる「地域包括診療」とに、何の関係があるのかよくわかりません。結局、よくある慢性疾患患者に定額制医療を導入する口実であったとしか思えないのが実態です。

16年4月の改定で、常勤医師が2名以上に緩和されるなど、若干の変更がなされましたが、医療機関側がどう対応するか注目されるところです。

この「地域包括診療料」の届け出を行っている医療機関で、今回新たに算定が可能になるのが、「認知症地域包括診療料」です。認知症以外に1以上の疾患を持っている、1処方当たりの薬剤が5種類以下などの条件をみたせば、月に1回、約1万5千円の収入になるというものです。他の医療機関が地域包括診療料を算定していても、病名が重複しなければどちらの医療機関でも算定が可能です。

「地域包括診療加算」は、診療所しか算定できないもので、健康相談をしている、24時間対応をしている薬局と提携している、敷地内が禁煙である、介護保険の相談に乗る、主治医意見書を記載している、在宅医療を提供し24時間電話対応をするか在宅療養支援診療所である、などの施設基準があります。

高血圧症、糖尿病、脂質異常症、認知症のうち2つ以上の疾患を有する患者が適応で、1回の診療のたび200円が加算されます。

この「地域包括診療加算」の届け出を行っている診療所で「認知症地域包括診療加算」が算定できるようになりました。1回300円です。認知症以外に1以上の疾患を有しており、1処方につき内服薬の数が5種類以下、1処方につき抗うつ薬、抗精神病薬、抗不安薬または睡眠薬の投薬が合わせて3種類以下などが対象となります。

いずれも、一人の患者に対し、「私が主治医だ」と宣言する形になっています。今回の改定で、どこまで広がっていくのか、注視する必要があります。