第805回:熊本地震におもう

香川県保険医協会報に「診察室の窓から」という、協会理事によるリレーコラムがあります。
2016年5月号に「熊本地震におもう」と題して、熊本地震支援の経験を掲載しました。5月中旬に書いた文章です。

熊本地震が落ち着きません。熊本県と大分県で震度1以上を観測した地震は、5月15日17時までに、震度7が2回で計1455回です。この文章を書いている15日も震度3の地震が起き、震度1以上の揺れは9回発生しています。

5月6日に熊本駅近くの生協店舗で開催された、健康チェック・健康相談に参加しました。週1回行われているもので、私が参加したのは2回目です。1回目の時は車中泊の方が多く、普段ならかかりつけ医に相談するような内容が多かったようですが、今回は、降圧剤を服用している方が「家の片づけをしているが、少し血圧が高い」といった相談が多く、片づけを始めた様子が伺えました。

3回目の13日に出た声では、「小学校が再開したため自宅に戻った。避難所は誰かがいるが自宅ではひとりで心配」「眠れないのが辛い。寝ていても地震で目が覚める」などがあり、まだまだ復興には程遠いというのが実情です。

被害の大きかった益城町を移動しましたが、家屋の甚大な被害のほか、道路が波打っていたり、橋を渡るときは段差の大きさを感じるなど、インフラの被害が大きく復興には相当時間と予算が必要だと感じました。

また、度重なる余震で、少し傾いていた家が大きく傾いたり、地震のたびに瓦が落ちたりしたために、ブルーシートをかぶせた家が増えています。

10年ほど前に、旅行会社のツアーで大分・熊本へ旅行したことがあります。大分県の宝泉寺温泉で宿泊、翌日熊本県の高森町に移動し、南阿蘇鉄道の「ゆうすげ号」にのり高森駅から立野駅まで移動、阿蘇五岳や阿蘇外輪山を眺望しました。途中、日本一駅名の長い「南阿蘇水の生まれる里 白水高原駅」を通過し、写真を撮りました。

こういった観光資源が、今回の地震で大きな被害を受けています。熊本・大分の人々の生業の復興は当然として、観光資源の復興も必要です。可能な限りの支援をしていきたいと思います。