第785回:16診療報酬改定について(2)重症患者を評価する、施設における医療

前回に続き、在宅医療の変更です。

2014年4月の改定で、有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅などの「同一建物」に入居している方に、同一日に複数の方に訪問診療を行ったときの訪問診療料(※1)が400点から203点に引き下げられました。さらに、月に2回以上訪問診療を行った場合に算定できる特定施設入居時医学総合管理料(特医総管)が、3,000点から720点に(※2)大幅に引き下げられました。

そのため、月2回施設に赴き複数の方の診療を定期的に行う場合、診療報酬が一気に3割以下に引き下げられることになりました。この突然の変更は現場に混乱をもたらし、在宅医療から撤退したり、月2回の診療のうち1回目は対象患者全員を診察し、もう1回は日にちを変えて診察する(2回のうち1回が一人だけの診察の場合は特医総管が従来通りの点数で算定できる)といった、笑えない実例が続出したようです。

今回の改定で、訪問診療料の「特定施設入居者」と「それ以外」の区別がなくなり同一点数で算定と、少し改善されました。また、特医総管について、同一日に何人診察したかで評価するのではなく、その建物に住む患者の数により算定する方式に変わり、こちらも少し改善されました。ただ、前回触れたように、末期の悪性腫瘍、難病法に指定する指定難病、人工呼吸器の使用など、従来なら入院医療を必要とする患者を施設で診た場合に、評価を高くするようになっています。

(この項、続く)


※1:特定施設に入居している場合の点数。1点は10円。特定施設とは、介護保険サービスの「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている施設のことで、介護付き有料老人ホーム、ケアハウス、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)などの一部が該当します。

※2:在宅療養支援診療所(定義については前回参照)で、院外処方箋を発行する場合。