第780回:2016年から始まる社会保障削減計画について(その3)

2月9日付(第778回)の続きです。

3.後期高齢者の窓口負担の2割化

経済・財政再生アクション・プログラム(以下、プログラム)では、「負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化」の項で、「世代間・世代内での負担の公平を図り、負担能力に応じた負担を求める観点から」「医療保険における後期高齢者の窓口負担の在り方について、関係審議会等において検討し、集中改革期間中に結論を得る」としています。

「平成28年度予算の編成等に関する建議」でも「75歳以上も」「(70~74歳と同様に)2割負担を原則とする」ことが提案されています。

介護保険でも同様に「利用者負担の在り方について、関係審議会等において検討し、 2016 年末までに結論を得て、その結果に基づいて必要な措置を講ずる」としています。

厚労省のいう「公平な負担」とは、常に「高い方に」合わせますから、介護保険も後期高齢者医療保険も2割に変えていくことにほかなりません。

4.市販類似薬の保険外し

「プログラム」では、市販類似薬の保険外しについて「平成28年度診療報酬改定での試行的導入に向けて評価対象の選定方法等を検討し、結論を得る」「長らく市販品として定着したOTC(※)類似薬を保険給付外とする」としています。

すでに、この4月からの診療報酬改定では、外来患者に1処方につき 70枚を超えて湿布薬を投薬した場合には、「調剤料・処方料・処方せん料・調剤技術基本料のいずれも算定できない」「薬剤料も、超過分については算定しない」ことになりました。医師が必要と認めた場合は「その理由を処方せん及び診療報酬明細書に記載することで算定可能」ですが、実質上、湿布は70枚までしか処方できないことになります。

「セルフメディケーション」(自分の健康は自分で責任を持ち、軽度の症状なら自分で手当てすること)の名のもとに、保険診療に制限が行われることになります。

※OTC医薬品:OTCはOver The Counterの略で、医師が処方する医療用医薬品に対し、薬局やドラッグストアなどのカウンター越しに販売できる薬のことで、以前は一般薬・大衆薬と呼ばれていました。