先週は、あちこち移動が多かったので、1週間休載しました。今号は、1月29日付(第777回)の続きです。
3.入院時の居住費の徴収
経済・財政再生アクション・プログラムでは、「医療・介護を通じた居住に係る費用負担の公平化」と称して、現在65歳以上の、療養病床の医療区分Ⅰ(比較的軽症の方が対象)の方だけに課せられている居住費(光熱水費)を療養病床全体及び一般病床に広げようとしています。一般病床については法改正が必要ですが、療養病床全体に広げるためには法改正の必要がありませんから、すぐにでも実行される可能性もあります。
2015年に成立した医療保険制度改革関連法の中で、65歳未満の現役世代の入院時の食事代負担は、2016年度から1食100円の引き上げ、2018年度からさらに1食100円引き上げられ、2018年4月からは、現行制度に比し1食200円(1日3食で600円)引き上げられることが決まっています。
これは、これまでの「食費」の考え方が「食材費」だったのが、「食材費と調理費」になったためです。財務省のプログラム通りになれば、65歳未満の現役世代が一般病床に入院して1日3食の食事をした場合、居住費・食費の負担は、1日当たり食材費780円から、2018年度からは食材費780円+調理費600円+居住費320円で、1700円となり2.2倍になります。1カ月30日として、23,400円から51,000円に、27,6000円の負担増になります。
さらに「プログラム」では、「医療保険において金融資産等の保有状況を考慮に入れた負担を求める仕組みについて、関係審議会等において検討」、財務省の「平成 28 年度予算の編成等に関する建議」では、「入院時生活療養費の負担能力の判定に際して」介護保険の「補足給付(注)と同様の仕組みを適用すべき」「マイナンバーを活用して、所得のみならず、金融資産の保有状況も勘案して負担能力を判定する」としています。
ますます、負担が増えていく仕組みづくりが待っているといえます。
注:補足給付とは、介護保険施設入所者や短期利用者に対して、食費や居住費を軽減する仕組みのことで、2015年8月から、その受給要件について資産が勘案されることになりました。そのため、制度を利用するときには預貯金通帳の写しの提出が必要になりました。
(この項、続く)