「骨太方針2015」は15年6月に公表され、社会保障削減を目的とする「経済・財政一体改革」を掲げ、44項目の「改革検討項目」を示しました。そのうち、年と生活保護を除く38項目が医療・介護関連です。
その内容は、①医療・介護提供体制の適正化、②インセンティブ改革、③公的サービスの産業化、④負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化、⑤薬価、調剤等の診療報酬及び医薬品等に係る改革です。
この「改革」は20年までを計画期間としていますが、16年から18年の最初の3年間が集中期間とされています。したがって、この内容が、早ければ16年度予算に盛り込まれるということになります。
保団連(全国保険医団体連合会)の医療運動推進本部事務局が12月にまとめた資料を参考にしながら、内容を紹介したいと思います。
1.受診時定額負担の導入
外来受診するときの主治医(かかりつけ医)を決め、それ以外の医療機関を受診したときに現在の負担(1割から3割)に加え、一定額(100円から500円が想定)の負担を強いるものです。3割以上の負担を認めれば、2002年の健康保険法改正(平成14年8月2日法律第102号)時の附則第2条の「医療保険各法に規定する被保険者及び被扶養者の医療に係る給付の割合については、将来にわたり100分の70を維持するものとする」に、明らかに違反します。
2.高額療養費制度の限度額引き上げ
世代間の負担の公平、負担能力に応じた負担を求めるもので、高齢者にのみ設けられている外来の医療費負担の特例措置を廃止するもです。財務省案によれば、下記の通りになります。
現在 | 財務省「建議」(案) | |
現役並み所得(年収約370万以上) | ¥44,000 | ¥87,000 |
一般所得(~年収約370万円) | ¥12,000 | ¥58,000以上 |
住民税非課税 | ¥8,000 | ¥35,000 |
※医療費が100万円の場合 |
現役並み所得で入院の場合は、所得水準に応じてさらに引き上げが行われます。さらに、上記表では、現役並み所得が370万円以上になっていますが、これも基準の引き下げが検討されており、際限のない負担増になります。
(この項、続く)