香川県保険医協会の会報の15年11月号の主張欄に掲載した、4月に行われる診療報酬改定の動向に関する文章を紹介します。一部修正しています。
16年4月に診療報酬が改定されます。
安倍内閣は昨年の6月30日に決定した「骨太方針2015」の中で、20年度に「財政健全化」目標を達成するため、社会保障費の削減を「歳出改革の重点分野」に位置付けました。
財務省は10月30日の財政制度等審議会の分科会で、16年度予算の焦点の一つである診療報酬についてマイナス改定が必要との考えを示し、厚労省も16改定の基本方針の中で、マイナス改定を示唆する方針を掲げています。
中医協(中央社会保険医療協議会)の総会や専門部会などで基本的な論議が行われており、診療報酬の細かな内容はこれからになりますが、現在問題になっていることについて触れます。
これまで、薬価引き下げ分を診療報酬本体に振り替え、改定の財源としてきました。今回は、「市場価格を反映した薬価改定」として振り替えを否定、「診療報酬マイナス改定」により、「医療費の伸びを抑制」するとしています。
薬剤では、湿布を含む鎮痛消炎剤やビタミン剤、うがい薬などを、例外なく保険給付から除外することが検討されています。後発医薬品の薬価引き下げや、特許切れ先発医薬品の引下げを行う一方で、新薬創出・適応外薬解消等促進加算を拡大することが検討されています。新薬創出加算の対象となる薬剤費は総薬剤費の3割にまで拡大しており、医療費を圧迫しています。
「医療提供体制の適正化」として、7:1看護体制の要件を厳しくし事実上の「患者追い出し」に向かうのではないかという懸念があります。
紹介状なし大病院受診時の定額負担についても、一定規模以上の医療機関では徴収を義務づける、大病院の範囲や、定額負担を求めない患者・ケースについて、定額負担の金額などが議論されています。
議論の詳細はこれから明らかになりますが、注意深く見守り、現場からの意見を上げていく必要があります。