第772回:国民健康保険制度の都道府県単位化について(続)

香川県保険医協会報の「社保のコーナー」に、医療保険制度改革法に関する連載を行っています。2015年11月号掲載分で、一部修正しています。第768回(2015年12月22日付)の続きです。

国民健康保険制度の都道府県単位化の問題点です。

国民健康保険料(税)は自治体により差が大きく、香川県でいうと、8つある市のモデルケースで、善通寺市が最も高く62.3万円、東かがわ市が最も少なく54.2万円で、8万円の差があります(いずれも概算で年額。43歳で年収550万円、専業主婦と子ども2人のケース)。

こういった違いは年齢構成の差により医療費が異なる、一般会計からの繰り入れの差など、様々な要因があるので、一概に良い悪いを示している訳ではありません。

これだけの地域格差があるなかで、都道府県単一化により、保険料が「平準化」されるとどうなるでしょうか。

「平準化」といっても実際には高い水準に統一されることは容易に予想されます。いまでも高すぎて払えない国保料(税)が、さらに高騰する可能性があります。

また、「保険者努力制度」を創設し、後発品使用割合、前期高齢者一人当たり医療費、保険料収納率等の、医療費の適正化に向けた取り組みを行う自治体に対し、財政支援を行うとされています。医療費削減の取り組みを、国と自治体で行っていく新たな仕組みづくりと言えます。

保険医等の参加する国保運営協議会を設置し、運営の在り方の見直しをすることになっており、今後の方向性を見ておく必要があります。

注:自治体により、国保税、国保料と呼び名が異なっています。