第767回:患者申出療養制度について

香川県保険医協会報の「社保のコーナー」に、医療保険制度改革法に関する連載を行っています。2015年9月号掲載分です

「医療保険制度改革法」の細かな内容について、議論は進んでいません。

国民皆保険制度の崩壊につながるのではないかと懸念される「患者申出療養制度」の議論を紹介します。

「患者申出療養制度」は、新しい治療方法等を、「患者の希望」により認める制度です。

9月9日の第303回中央社会保険医療協議会に提出された、患者団体の意見を紹介します。

難病や長期慢性疾患をもつ患者団体の連合会で、全国組織85団体が加盟している日本難病・疾病団体協議会(JPA)は、本制度施行に当たり「患者団体からの意見聴取の予定がない」ことを指摘した上で、1)本制度は例外的なものであり、混合診療の全面解禁は行わない、2)対象の未承認薬等は他に治療の選択肢がない場合に限る、3)制度の導入により保険収載が促進される理由と裏づけとなる予算確保等の整備、4)インフォームド・コンセントの徹底、5)申請から6週間で安全性・有効性が確保できるとする理由、6)相談支援員の要請・配置、7)この制度を検討する会議への患者団体の参加、8)有害事象発生時は国の責任で公的保障とすることなどを要望しました。

またこれらについての審議が尽くせない場合は、制度施行の延期を要望しました。

厚労省のホームページに掲載されている現行の先進医療にかかる制度に基づく「試算図」は現実とは異なり、先進医療の患者負担は7年前の49万円から73万円に増加している、と指摘しています。