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Monthly Archives: 12月 2018

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2018年11月11日付(第1797号)に掲載した、「入院から在宅へ」の流れを考える(その7)の後半です。

08年4月に後期高齢者医療制度が発足、それに伴い診療報酬でも「後期高齢者」を冠する項目ができました。一般病棟に入院中の後期高齢者を対象に「後期高齢者退院調整加算」などです。08年には、療養病棟等に入院している患者等を対象に「退院調整加算」も新設されました。

後期高齢者医療制度は、ネーミングや保険料の問題など、国民の大きな批判を浴びたこともあり、10年改定では「後期高齢者」を冠する項目は廃止されたり、対象を広げ名称を変更するなどが行われました。

 08年改定時に「後期高齢者退院調整加算」が新設され、長期入院になりがちな高齢者や等を対象に、入院初期から退院に向けた流れを作りました。10年改定では、急性期病院からの退院について、65 歳以上の患者または40 歳以上の介護保険の特定疾病の患者(注3)を対象に「急性期病棟等退院調整加算」が新設されました。年齢と対象をひろげ、適切な退院先や介護サービスの導入に係る退院調整を行うことを評価したものです。

また、NICU(注4) からの在宅復帰支援・調整に「新生児特定集中治療退院調整加算」が新設されました。集中治療室に長期入院患者が増えると、時には満床状態になり新規受け入れが困難となることがあるため、適切な病院に転院したり、必要な社会福祉サービスを調整し在宅へ移行できるようにするために、社会福祉士等の配置を義務づけたものです。

08年改定で創設された、療養病棟等に入院中の患者を対象にする「退院調整加算」は、10年改定で「慢性期病棟等退院調整加算」と名称が変更になり、転院・退院がスムーズに行えるような体制の整備が義務付けられ、社会福祉士の配置を施設基準に求めるようになりました。

注3:40歳以上の介護保険の特定疾病の患者
介護保険は、65歳以上は疾病に関わらず対象になるが、40歳以上65歳未満では、がん(末期)、関節リウマチ、脳血管疾患など16の疾病が対象となる。なお、この「加算」の対象になるのは特定疾病に該当するかどうかであり、介護保険の認定や利用はなくてもよい。

注4:NICU
新生児集中治療室のこと。低出生体重児や重篤な疾病をもつ新生児の集中治療を行う。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2018年11月11日付(第1797号)に掲載した、「入院から在宅へ」の流れを考える(その7)の前半です。

退院時の調整に関わる点数項目で、06年改定では「地域連携診療計画管理料」 「地域連携診療計画退院時指導料」「総合評価加算」などが新設されました。08年改定では「後期高齢者退院調整加算」「退院調整加算」などが新設されました。

10年からはこれらの対象を広げていくために、退院調整に関わる制度が創設されます。

まず、「介護支援連携指導料」です。医療・介護関連職種の連携を推進する観点から新設されました。入院患者に対して、医師または医師の指示を受けた看護師等が、ケアマネジャーと共同し、退院後に利用可能な介護サービス等について説明および指導を行った場合に算定できるものです。入院中から、ケアマネジャーが退院後のケアプランを作成できることを評価したものです。

また、「地域連携診療計画管理料」の計画を共有する相手として、介護サービス事業者等が追加されています。前述の「介護支援連携指導料」等とは併算定できないため、大腿頸部骨折(手術した場合)と脳卒中は「地域連携診療計画管理料」で算定し、それ以外を「介護支援連携指導料」で算定するという形になりました。いずれも、入院中からケアマネジャーや介護事業者との連携をつくり、退院後の生活を支えていく仕組みです。

従来の「地域連携診療計画退院時指導料」が「地域連携診療計画退院時指導料(Ⅰ)」となり、退院後の治療を行う医療機関や介護サービス事業者に診療情報を文書で提供した場合の「地域連携診療計画退院計画加算」が新設されました。

また、「地域連携診療計画退院時指導料(Ⅱ)」が新設されました。これは、地域連携パス(注1)で患者の受け入れ側になる医療機関(診療所や200床未満の病院)の役割を評価するもので、地域連携パスを作成した病院に日常生活機能評価(注2)等を記載した文書を提供し、計画通りに推移しているかどうか、退院後の状態を報告するといった仕組みが作られました。

注1:地域連携パス
脳卒中や大腿骨頚部骨折の術後などに対して急性期・慢性期治療、退院後の患者の流れを定めたもの。工事の工程表のイメージで考えるとわかりやすい。

注2:日常生活機能評価
寝返りや起き上がり、食事摂取、衣服の着脱などの生活自立度を13項目で評価するもの。

11月24日マレーシア・クアラルンプール市郊外のホテルで、第20回APHCO(アジア太平洋地域保健協同組合協議会)の理事会が開催され、APHCO会長として参加しました。日本以外の参加は、デシュムクAPHCO副会長(インド・シュシュリュシャ市民協同病院)と、この理事会の準備を周到にしていただいた、マレーシア医師協同組合(KDM)のザイードAPHCO副会長でした。

私は会長として、はじめに、理事会を準備して頂いたマレーシア医師協同組合(Koperasi Doktor Malaysia Berhad :KDM))の皆様への感謝を述べました。

そして、ケララ州をはじめとしたインド各地で発生した大規模な豪雨、7月の西日本豪雨、9月初めの北海道胆振地方の地震、インドネシアでの9月下旬の地震と津波による被害に対し、黙とうを行いました。

その後、あいさつをおこないました。

昨年11月17日のICA総会はここクアラルンプール・サンウェイリゾートホテルで開かれました。新しい会長にはアルゼンチンのアリエル・グアルコ氏が選任されました。

総会テーマは「開発の中心に人々をおく」でした。グローバル経済の影響から世界中で所得の格差が拡大しています。また、所得格差が健康格差に関係することが明らかになっています。協同組合はジェンダー・社会・政治・宗教の別を問わず無差別に組織の一員として保証される、多様性のある協同組合原則を持っています。ユネスコの無形文化遺産に登録された、「協同組合の思想と実践」は先達が積み重ねてきたかけがえのない財産です。協同組合は地域で平等が保障されるよう、誰も取り残さない社会の実現を通したSDGsの体現を期待されています。

世界で医療保健協同組合の連帯の輪が広がっています。昨年のIHCO総会で、コロンビアの「Cooperativa Médica del Valle, Coomeva」と、フィリピンの「1 -Coop –Health」 の2か国2団体がIHCOに加盟しました。このうちフィリピンの「1- Coop -Health」は、国内で8000人以上の会員にサービスを提供しており、134の病院、189の診療所、53の歯科医院が医療機関として認定されています。なおAPHCOへの加盟についてもご案内をしているところですが、加盟には至っておりません。

連帯のひろがりは、各々の協同組合が各国、各地で事業、事業外を通じ、多くの社会的役割を担い果たしていることでもあります。理事会でもこの間の各国、各協同組合での活動振り返りと次の総会までの活動とともに、各協同組合がどのような社会的役割を発揮しているか、また地域で社会的役割を発揮するためにどのようなことを実践すべきか、意見交換を行いたいと思います。