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Monthly Archives: 5月 2018

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2018年4月15日(第1776号)に掲載した、「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」の後半部分です。一部修正しています。

(承前)

これまでのガイドラインでは、
・医師等の医療従事者から適切な情報提供と説明がなされ、それに基づいて患者が医療従事者と話し合いを行った上で、患者本人による決定を基本とする
・人生の最終段階における医療及びケアの方針を決定する際には、医師の独断ではなく、医療・ケアチームによって慎重に判断する

こと、となっていましたが、今回の改定では、病院における延命治療への対応を想定した内容だけではなく、在宅医療・介護の現場で活用できるように見直されました。
・医療・ケアチームの対象に介護従事者が含まれる
・心身の状態の変化等に応じて、本人の意思は変化しうるものであり、医療・ケアの方針や、どのような生き方を望むか等を、日頃から繰り返し話し合う(=ACPの取組)
・本人が自らの意思を伝えられない状態になる前に、本人の意思を推定する者について、家族等の信頼できる者を前もって定めておくことの重要性を記載
・今後、単身世帯が増えることを踏まえ、上記の「信頼できる者」の対象を、家族から家族等 (親しい友人等)に拡大
・繰り返し話し合った内容をその都度文書にまとめておき、本人、家族等と医療・ケアチームで共有することの重要性について記載すること

とされました。

診療報酬の中では、訪問診療料の「在宅ターミナルケア加算」、訪問看護の「ターミナルケア加算」などの算定要件、療養病棟入院料と地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料1,3の施設基準について、同ガイドラインに基づく「看取りに関する指針」を定めることが追加されました。

また、療養病床の在宅患者支援療養病床初期加算、地域包括ケア病棟入院料・入院借り料の在宅患者支援病床初期加算について、同ガイドラインを踏まえ、入院時に治療方針に関する意思決定支援を行うことが算定要件とされました。

患者・利用者の「自己決定」を尊重するという点では、重要なことだと思います。

ただ、「改革工程表」の中では「Advance Care Planning(ACP)の普及を図る」と位置付けられており、あらかじめ明示された本人の意思に反した医療・介護が、制限されるなど問題になる可能性もあるため注意が必要です。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2018年4月15日(第1776号)に掲載した、「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」の前半部分です。

今回の改定の特徴は、各種ガイドラインに基づいて実施する項目が増えたことです。

具体的には「情報通信機器を用いた診療に係る指針」「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」「抗微生物薬適正使用の手引き」などです。

今回は、「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」について触れます。

このガイドラインは、改定が発表された後の18年3月に「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」と、「医療」の後に「ケア」という言葉が追加され、改訂版が公表されました。

このガイドラインを作る契機になったのは、06年3月に富山県射水市における人工呼吸器取り外し事件です。07年に「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」が策定され、15年3月に「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」に名称変更が行われ、今回「医療」から「医療・ケア」にタイトルが一部変更されたものです。

これまでは、得てして、救急医療現場での「気管挿管するかどうか」「人工呼吸器を装着するかどうか」「心臓マッサージは行うのか」など、医療現場での判断に関わる内容など「終末期医療の決定」に関するものが話題になることが多かったのが実態です。

今回、在宅医療の中での判断や、そもそも人生の最終段階をどう生きるのかという内容の一つとして「医療・ケア」の問題が取り上げられてきたと言えます。

(次号に続く)

5月10日、四国こどもとおとなの医療センターの4Fこもれびホールで、第12回地域連携懇談会(四国こどもとおとなの医療センター、香川医療生協善通寺診療所・訪問看護ステーションほがらか・訪問ヘルパーステーションほがらか共催)が開催され、23の事業所から80名近い方が参加し、熱心な討議が行われました。

今回はこどもとおとなの医療センターからの報告で、地域医療連携室の西川副看護師長が、重症心身障がい児(者)短期入所利用について、地域医療連携室の松尾SWが、地域包括ケア病棟の運用実態について報告が行われました。

心身障がいを持つ子供も、医療の進歩に伴い成人になりやがて高齢化していきます。また、親も当然ながら高齢化していきます。

こどもとおとなの医療センターでは、重症心身障がいの子供や成人に対して、家族のレスパイトや、冠婚葬祭や入院などに伴い医療が必要な場合に、一時的に預かる「短期入所」制度をもっています。その現状についての報告でした。

こういった制度については知らない人も多いため、大変重要な報告でした。

会議の全景です

香川県保険医協会報2018年4月号の「主張」欄に、18改定に関する内容を掲載しました。転載します。

18改定が実施されました。今回は、医科の入院医療について取り上げます。

入院点数は、一般病棟入院基本料、療養病棟入院基本料、地域包括ケア病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料が、看護体制等による基本部分と、看護必要度等の「実績部分」を組み合わせた評価体系に再編・統合されました。

一般病棟は、10対1看護配置を基本とし、重症度、医療・看護必要度、患者割合による7段階の報酬区分とする「急性期一般入院基本料」と、15対1看護配置を基本とし、看護配置や看護必要度の測定実績による3段階の報酬区分とする「地域一般入院基本料」が設定されます。

療養病棟は、20対1配置が基本とされ、重症度の高い医療区分2・3の割合8割以上が入院料1、5割以上が入院料2となります。25対1配置は医療区分2・3の割合5割以上でも現行点数の10%減額とされ、5割未満なら現行点数の20%減額とされます。

重症度が高く処置の多い患者を受け入れ、一定数の看護配置があれば、点数が高くなる仕組みになっています。

一般病棟も療養病棟も看護必要度等の指標が評価の大きなウエイトを占め、「実績」を出すための運営が迫られます。

「実績」や「結果」に結びつかないと判断された患者の選別が起こらないかが危惧され、このような評価体系の大幅な見直しは、拙速に行うべきではありません。

回復期リハビリテーション病棟は、「アウトカム評価」をさらに推進、リハビリテーションの実績指数が組み入れられます。

15対1看護配置の基本報酬は10点引き下げられ、実績指数、重症割合、回復割合、自宅等退院割合、看護や療法士配置によって6段階に細分化されます。

地域包括ケア病棟入院料の基本報酬も、現行より20点引き下げられ、看護必要度、在宅復帰率、室面積、看護や療法士等配置によって4段階の報酬区分とされますが、アウトカム評価や在宅復帰率などの要件は患者の選別に繋がりかねません。

こういった急速な改変は現場に混乱をもたらす可能性が高く、速やかな見直しを強く求めるものです。