第748回:平和安全関連法案の強行採決の中で、民主主義を考える

9月17日夕刻、参議院平和安全法制特別委員会で平和安全関連法案の採決が強行されました。15日には中央公聴会が開かれ、6人の方が意見を述べました。

その中でも、学生団体のSEALDsの奥田さんの「政治的無関心と言われていた若い世代が動き始めている」「この国の民主主義のあり方、未来について、主体的に一人ひとり考え、立ち上がって」いるという発言が共感を呼んでいます。そして、「私たちこそが主権者であり、政治について考え、声をあげることは当たり前」と指摘しました。

安倍政権はそれに対し、地方公聴会の開催を決めると同時に、総括質疑を提案しました。しかし、実際は総括質疑を行うことなく、採決を強行するという、「詐欺」といってもよい手段を用いました。

今回の法案は、数の横暴で成立するかもしれません(注1)。しかし、新しい時代が始まったと言えるのではないでしょうか。この法案に反対する運動は、すべての地域で、すべての世代でおきています。そして、日本国憲法が、国民の中で確かに根付いていることを示しました。

私が日々診療を行っている善通寺診療所の外来には、岩合光昭さんの写真を使った「憲法9条カレンダー」がかかっています。ちょうど、9月のページには、1948年文部省著作教科書の、民主主義の項の内容が掲載されています。民主主義の落とし穴という題で以下のような内容です。

「多数決という方法は、用い方によっては、多数党の横暴という弊を招くばかりでなく、民主主義そのものの根底を破壊するような結果に陥ることがある。なぜならば、多数の力さえ獲得すればどんなことでもできるということになると、多数の勢いに乗じて一つの政治方針だけをぜったいに正しいものにまでまつり上げ、いっさいの反対や批判を封じ去って、一挙に独裁政治体勢(注2)を作り上げてしまうことができるからである」

そっくりそのまま、安倍首相をはじめ、この法案に賛成したすべての議員に送りたいと思います。

 

注1:この文章は17日の23時過ぎに書いています。

注2:「政治体勢」は原文のままです。