8月24日付「朝日」が、「病院経営 消費税8%ショック」という見出しで、昨年4月からの消費税増税の医療機関への影響を報じました。
建前上は医療に係る消費税は非課税ということになっており、医療を「利用する消費者」である患者には負担はない、ということになっています。しかし、医療に使用する薬剤や診療材料や医療器械などには消費税が発生し、最終消費者である医療機関が、納税しています。大企業が下請け企業に消費税を転嫁するように、患者に負担をお願いすることは法律上できない訳です。しかも、医療費は公定価格ですから、勝手に値上げをすることもできません。
薬剤であれ医療器械であれ、購入高が多ければ多いほど、消費税負担は激増しますから、大病院ほど影響は大きくなります。今回の「朝日」の記事では、千葉大学では、職員用トイレに「節約しませんか?ペーパータオルはたくさん取らずに1枚だけ」という貼り紙がある。聖マリアンナ医科大学病院では、米マイクロソフト社の基本ソフトであるWindows XPの更新を延期して約20億円の経費を浮かせた、としています。
医療機関の消費税負担に対応して、厚労省は診療報酬に消費税分を上乗せしている(となれば、患者も負担していることになるのですが)と説明していますが、2年に1回の診療報酬改定時には、その点は考慮されず引下げが行われていますから、医療機関の経営を圧迫することになります。
医療機関も設立主体により、個人、医療法人、日本赤十字社、厚生連、独立行政法人、医療福祉生協など、根拠法が異なるために、税制上の優遇措置があります。そのため、医療機関により主張は異なります。
「朝日」は、「医療界には控除や還付を求める意見が強い。税率については免税や軽減税率、標準税率まで意見が分かれている」「一枚岩とはいえない」と言いますが、背景にはそういった事情もあるのです。
しかし、消費税が8%になり、多くの医療機関が経営が苦しくなっているのは事実であり、このまま10%増税には到底耐えられないという声が大きいのです。
消費税増税は行うべきではありません。