第730回:特別養護老人ホームへの入所制限は許せません

地方政治新聞「民主香川」に、「史上最悪の社会保障改悪」というタイトルで、医療・福祉の改悪の内容を連載しています。2015年5月17日号(第1671号)に掲載した、「第4回 特別養護老人ホームへの入所制限」で、一部修正しています。

今回は指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム、「特養」のことです)への入所制限を取り上げます。

さて、特養への入所希望者は多く、入るためには長期間待たないといけない、というのは常識だと思います。しかし、その実態は明確にはなっていません。

特養の現状について、2015年4月1日現在のデータが高松市のホームページに載っています。高松市内の特養の施設数は26、1施設当たりの入所定員数は50~90人で定員の合計は1,557人です。それに対し予約数は1施設当たり70~370人で、合計は5,880人です。単純計算でいえば、「倍率」は3.78倍になります。

但し、予約数は10人単位で記載、1人で複数の施設に入所している場合もあるので、正確な申込者数は不明、ということになっています。しかし、「入りたくてもすぐには入れない」ということは間違いないと思います。

特養の需要が高いにもかかわらず施設が不足しているのには、理由があります。厚労省(当時は厚生省ですが、以下「厚労省」で統一します)が1989年に制定した「高齢者保健福祉推進10ヵ年戦略」(ゴールドプラン)では、特養入所者は、1990年、1995年、2000年のいずれも、高齢者人口(65歳以上人口)の1%前後と予測していました(1%に抑えようとしていた、というのが正しいと思います)。そのため1992年の厚労省通知で、特養の整備目標は「目標年度における当該市町村の65歳以上人口の1%強の数とすることを標準とする。(入所者数)」としました。

その後、介護保険制度を開始するにあたり、1999年の厚労省告示の中で、施設サービス(特養、老健、介護療養型病床。介護保険3施設と呼びます)について「目標年度における65歳以上人口のおおむね3.4%を標準として、定めることが必要」、特養、老健、介護療養型の比率については「おおむね8:7:5程度の比率を参考として、地域の実情に応じて定めることが必要である」としました。

その後、2000年度から2004年度の計画(ゴールドプラン21)によって、認知症に対応するグループホームの整備が推進される中で、施設・居住系サービスについては、特養、老健、介護療養型医療施設の介護保険3施設に、介護専用型特定施設、認知症高齢者グループホームの介護専用の居住系施設を加えた「施設・居住系サービスの利用者数」を要介護2から5に認定された方の数で除した数値を37%以下にするという参酌標準が示されました。式で書くと以下のようになります。

(施設・居住系サービスの利用者数)/(要介護2~5の認定者数)≦37%

説明が随分長くなりましたが、こういった政策により特養が足りないという現状に至った訳です。