香川県保険医協会は機関紙「香川県保険医協会報」の「社保のページ」に介護保険改定に関する連載を行っています。
2015年2月号に掲載した内容を転載します。内容的にはこれまでの「飛来峰」の内容と重複します。
2015年4月から介護保険法が改定され、3年に1度の介護報酬改定も行われます。改定の詳細について、連載したいと思います。
介護認定で「要支援」と判定された場合、ホームヘルパー(45万人利用)・デイサービス(50万人利用)の利用が介護保険から外されます。
かわりに市区町村の「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」(新しい総合事業)で対応します。従来の施設基準・人員基準等は廃止されますから、自治体により対象やサービス内容が異なることになります。サービス事業には予算の上限が定められますから、財政等に余力があり、サービスを充実できる自治体では対応可能ですが、そうでなければサービス内容は不十分になります。
これまで介護職が行ってきたサービスが、専門技量を持たない無資格のボランティアが対応することにもなります。自治体でも「ボランティアなど受け皿がなく、移行は困難」という声もあります。「安全・安心」には程遠い「新しい総合事業」になる可能性があります。
自治体の準備状況について、中央社保協(中央社会保障推進協議会)が2014年9月から11月にかけて、47都道府県の社保協を通じ、アンケート調査を行いました。
その結果をまとめた、2014年「全国市町村介護保険改定に関する緊急調査」報告書では、回答のあった35都道府県の950自治体のうち、「要支援1・2サービスの地域支援事業への移行」について、「見通しがたたない」「できない」と回答したのが74・0%、「できる」としたのは8・9%でした。
厚労省の調査では2015年度中に移行できるのは144自治体(7・2%)、この4月から移行できるのは78自治体(4・9%)、13府県では移行自治体がゼロでした。今回の介護保険改悪が、大きな矛盾に突き当たった形です。
大半の自治体が準備中ですから、計画を具体的に明らかにさせ、準備状況について情報公開を求めていくことが必要です。そして、「改悪」の撤回を求める運動を広げていく必要があります。