第719回:新日米防衛指針(ガイドライン)の合意撤回を求めます

いつでも自衛隊を海外に派遣できる「国際平和支援法案」と、10本の改正法案をまとめた、「戦争立法」が14日にも閣議決定されようとしています。それに先立ち、5月1日付で、医療福祉生協連会長理事として、以下の声明を発表しましたので、紹介します。

新日米防衛指針(ガイドライン)の合意撤回を求める

2015年5月1日

日本医療福祉生活協同組合連合会
会長理事 藤原 高明

日米両政府は、27日にニューヨークで開催した外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)において、18年ぶりの「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」改定(以下、「新ガイドライン」)に合意しました。

「新ガイドライン」は、「日本の平和及び安全の切れ目のない確保」「地域の及びグローバルな平和と安全のための協力」「宇宙及びサイバー空間に関する協力」「日米共同の取り組み」という項目を立て、日本が集団的自衛権を行使することを前提に米軍への後方支援の地理的制限をなくしただけでなく、宇宙空間やサイバー空間までも含めて米軍との協力を可能にしています。

集団的自衛権行使は閣議決定後関連法制の整備がすすめられ、この通常国会で関連法規が審議される予定のものであり、その審議も待たずに集団的自衛権の行使を前提にした「新ガイドライン」に合意することは国会軽視・国民無視であり、内閣の行為としてあってはならないことです。

日米安保条約は第6条で「極東の平和と安全」に寄与することを定め、日本政府は従来の指針の際、「極東」を「フィリピン以北並びに日本及びその周辺地域」と説明してきました。「新ガイドライン」は地理的制約を取り払い「アジア太平洋地域及びこれを越えた地域」とすることで、地球規模にその範囲を広げました。これは日米安保条約の事実上の改定に等しいもので、認めることはできません。

「新ガイドライン」は、第2次世界大戦後70年をかけて築いてきた日本国憲法の理念や平和国家の姿を投げ捨て、紛争解決の手段としての外交努力を放棄し、米軍と一体となり自衛隊員を「平和維持」の名目で戦地に送るものです。

戦後政治の転換をもたらすこうした重大な決定は国民への丁寧な説明と、国会における十分な論議を経て承認されるべきものです。医療福祉生協連は政府に対して「新ガイドライン」合意を直ちに撤回し、国民に対する丁寧な説明と国会での徹底審議を求めます。

以上