第703回:今後の社会保障改悪スケジュールについて(その2)

地方政治新聞「民主香川」に、〈社会保障を大本から破壊する「医療・介護総合法」〉というタイトルで、連載しています。2015年1月18日号(第1659号)に掲載した「第9回」で、一部修正しています。

2014年末の総選挙が終わり、議席の面では、自民党は微減、共産党が躍進という結果でした。国民の支持を最も正確に表す比例代表選挙で33%の支持しかなかった自民党と、与党公明党の議席を合わせると全体の3分の2になるという、大政党に圧倒的に有利な小選挙制に起因する、いわば「虚構の多数」を示す結果となりました。

これから、社会保障制度の後退政策が実行されようとしていますが、躍進した力に依拠して、社会保障の後退許すなの声を上げ続けなければいけません。

さて、すでに実行されたり、決まっている内容については、以下の通りです。

①70歳の誕生日を迎える70歳から74歳の窓口負担を1割から2割に。

②介護保険の利用料負担について、一定以上所得者は1割から2割に。

③介護保険施設入居時の居住費・食事補助の縮小

2015年の通常国会に法案が提出される予定の項目は、以下の通りです。

①入院時食事療養費の自己負担引き上げ

②紹介状を持たずに大病院を受診した時の、定額自己負担導入。

③事実上の混合診療の導入である、保険の効かない医療を認める「患者申出療養」制度の導入

これらは、国会で認められれば2016年以降に実施されます。

また、経済財政諮問会議、財政制度等審議会など、政府の各種会議で検討され、今後実施される可能性のあるものとしては、以下の通りです。

①現在1割負担の75歳以上の患者負担を、原則2割負担に引き上げる。

②70歳以上の高額療養費制度の外来特例(入院せず外来のみを受診した場合の特例)の廃止。

③シップ、漢方薬、カゼ薬の保険外し。

④受診時定額負担(現在の負担に加え、1回あたり例えば100円負担を追加)

⑤参照価格制度の導入(ジェネリック品が存在する場合、先発品を受け取れば、ジェネリック品の薬価を超えた額は自己負担とする)。

⑥現在保険適応が認められている医療技術でも、費用対効果が薄いと判定されたら保険外しとなる。

⑦傷病手当金や出産手当金の減額

とにかく、あれもこれも、思いつくものはすべて削減の対象とするというものです。こんなことは許されないと思います。総選挙で躍進した力に依拠して改悪を阻止する活動に力をいれていく必要があります。

厚生労働省「平成26年度予算案の概要」)によれば、8%に増税された消費税の、2014年度の増収額は約5兆円です。その使途については、基礎年金国庫負担割合2分の1に2・95兆円、安定財源確保(後代への負担つけ回しの軽減)に1・3兆円、消費税増税に伴う社会保障4経費(※)の出費増に0・2兆円で、実際に社会保障の充実に使用された額は0・5兆円です。

社会保障充実のために消費税を増税するというのは、真っ赤なウソであったということを厚労省自身が認めているのです。

※消費税は、従来、高齢者3経費(基礎年金、老人医療、介護)に充てるとされていましたが、税と社会保障の一体改革のなかで、社会保障4経費(年金、医療、介護、子育て)にあてると変更されました。