第697回:総選挙後の社会保障改悪について

2015年1月号保険医協会報「主張」に掲載した文章を再掲します。一部修正しています。

 第47回衆議院選挙は12月14日に投票が行われ、自民党は議席を減らしたものの、自公両党合わせて、法案の再可決や憲法改正の発議に必要な、全議席の3分の2を上回る326議席を獲得して議席の上では「圧勝」しました。野党では民主党が11議席増、日本共産党が3倍近く議席を増やし21議席へと躍進しました。

総選挙を控え審議が事実上ストップしていた、社会保障制度改革プログラム法や医療介護総合法案の内容の具体化が急ピッチで進むものと思われます。

すでに実施されているものでは、年金収入が280万円以上の70歳から74歳の方の医療費負担が、14年4月から段階的に1割から2割に引き上げられています。

15年1月からは高額療養費制度が変更となり、月額の医療費が100万円の場合、年収が約770万円以上で約17万2千円、1,160万円を超えると約25万4千円になります。所得が多ければやむを得ないのではないかと考えがちですが、食事療養費が1日1,380円に増やされることが予定されていますから、これらを合計すると3割負担を超えることになります。

現在検討されている内容では、紹介状を持たない患者が大病院を受診した時、病院が任意に設定する「選定療養」制度から定額自己負担制度になり8,000円前後とされます。

また、事実上の混合診療と言われる「患者申出療養」制度の導入も予定されています。

介護保険では、要支援と認定された場合、訪問介護(ホームヘルパー)と通所介護(デイサービス)は介護保険から外され、市町村が行う地域支援事業となり、上限が設定されることになります。

特別養護老人ホームへの新規入所は、原則要介護3以上になります。また、年金収入280万円以上の場合、介護保険の利用者負担が2割になります。また、一定の預貯金がある場合、施設での居住費・食費が自己負担になります。

こういった改悪が予定されています。抗議の声をあげなければ、そのまま実施されます。前期高齢者の医療費負担が、一時的にせよ国民的な運動で、本則2割だが予算措置で1割に抑えられた経過もあります。

社会保障改悪許すな声をあげ続ける必要があります。