第1167回:オンライン診療の問題点(その1)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2020年10月18日付(第1863号)に掲載した、「オンライン診療の問題点」(その1)の前半です。

菅総理大臣が恒久化を指示していた「オンライン診療」について、10月9日田村厚労相は、恒久化する方針を記者会見で明らかにしました。

医師法20条は、医師は、自ら診察しないで治療をしてはならないと、無診察治療を禁じています。

一方、離島やへき地では、医療機関への受診が現実的に困難だったり、16kmを超える往診は保険診療として認められないという問題もあり、97年に「情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について」(厚生省健康政策局長通知)を発出しました。

・診療は、直接対面して行われることが基本であり、遠隔診療は、直接の対面診療を補完するもの

・直接の対面診療を行うことが困難である場合(離島、へき地の場合など往診等に相当な長時間を要したり、危険を伴うなど)

・直近まで相当期間にわたって診療を継続してきた慢性期疾患の患者など病状が安定している患者などを対象とすることとしました。

05年に、情報セキュリティ等の観点から「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を公表し、「遠隔診療」を行う前提条件を定めました。

15年には厚労省の事務連絡で、遠隔診療の対象は97年通知で示された患者には限定されない、としました。要するにすべての患者が対象であるということになります。

16年には医政局医事課長通知で「対面診療を行わず遠隔診療だけで診療を完結する事は医師法違反になる」としましたが、17年の厚労省医政局通知で、患者側の理由で診療を中止した場合、直ちに医師法違反にはならない、テレビ電話や電子メール、SNS等を組み合わせた診療が可能、としました。