香川県保険医協会報2020年10月号の「主張」欄に、「政権交代と新型コロナウイルス対策を考える」と題する文章を掲載しました。少し古い話題にはなりますが、菅政権の支持率が急速に低下していることもあり、内容的には今でも通用するので掲載します。一部表現等を変更しています。
安倍総理が病気を理由に退陣、9月16日に菅政権が誕生しました。総理就任後の記者会見で、「安倍政権が進めてきた取組をしっかり継承」と宣言、「新型コロナウイルス対策」など課題を挙げた後、「私が目指す社会像、それは、自助・共助・公助」と述べました。
要は、国の政治のあり方について、「安倍政権の継承・発展」と「自助・共助・公助」ということになります。
早速問題となったのは、日本学術会議の人事に対して介入し、新会員候補のうち6人の任命を拒否したことです。読売新聞は10月6日の社説で「今回の決定について、政府が十分に説明していない」「菅首相は、判断の根拠や理由を丁寧に語らねばならない」と指摘しています。
保団連(全国保険医団体連合会)も参加するドクターズ・デモンストレーションは、新型コロナウイルス感染拡大下での医療、介護の実態を知らせるシンポジウムを9月26日、東京都内で開催しました。
全国医師ユニオン代表は、アンケートを基に、9割超の医師が院内感染について不安や問題を抱え、感染防護具も不足していると紹介、PCR検査の拡充、感染防護具の十分な供給や、危険手当の支給など労働条件の改善をと述べました。
保団連の山崎理事は、支払基金、国保連合会によると、5月診療分だけで前年比4000億円もの減収。医療機関は融資を受けてなんとか経営を維持しているが、返済の目途は立たない。小児科、耳鼻科の減収は特に深刻と指摘、杉山理事は、低医療費政策によって歯科医院は厳しい経営難で、コロナによる受診控えが起き、閉院を考える歯科医院も多いと述べました。
日本医師会の今村副会長は、保団連の住江会長らとの懇談の中で「減収補填に関しては、日医としても政府に、すべての医療機関への対応を考えてほしいと要請。一つでも医療機関がなくなれば、その地域の医療が守れない」と、すべての医療機関への対応の必要性を強調しました。
コロナ対策で重要なことは「自助」に任せるではなく、「公助」によりしっかりと医療機関の経営を守ることです。