第1146回:新型コロナ感染症が医療機関の経営に与えた影響(その6)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2020年8月9日付(第1857号)に掲載した、「新型コロナ感染症の医療機関への影響」(その3)の後半です。

公立・公的病院についての全国調査はいまのところ見当たりませんが、7月20日に「朝日」が「公立病院 コロナで経営難」と題する記事を掲載しています(以下、記事より引用)。

感染症指定医療機関で、新型コロナ感染症感染者8人を受け入れた東北地方の公立病院の例。6病床を感染者用に変更し、救急外来や健康診断の受け入れを制限、感染リスクを避けるため手術も縮小した。その結果、4月~5月の外来患者は前年より約25%減少し、5月の赤字は約1億円。国の補助は軽症者受け入れで1床あたり1万6千円、病院事務長は「赤字」と回答しています。

公立病院は医師不足による人件費高騰で約6割が赤字、そこにコロナ対応が重なり資金繰りが悪化しています。

西日本唯一の特定感染症指定医療機関、地方独立行政法人りんくう総合医療センターも4月以降の赤字が10億円超え、運営を支える泉佐野市がふるさと納税で寄付を募っていると報じています。

日本医師会は7月8日に「新型コロナウイルス感染症の病院経営への影響―医師会病院の場合―」と題する調査結果を公表しました。対象72病院中58病院が回答したもの。

3月~5月期でみると、対前年同期比で、入院と外来を合わせた総件数が17.2%減、総点数が8.9%減でした。外来は、総件数が17.7%減、総実日数が17.9%減(職員の感染で休診にした影響もある)でした。初診料は36.5%減、再診料または外来診療料(※)は23.8%減でした。明らかな受診抑制が現れています。医業・介護収入は、全体で10.1%減でした。

新型コロナ感染症に直接対応していない医療機関であっても、大きな経営的打撃を受けています。速やかに直接的な支援を求めるものです。

※外来診療料とは、再診時に200床以上の病院が算定する点数です。また、内服薬の投薬は長期投薬であっても実質90日程度までとされていますから、3カ月通期でみると、より正確に外来受診実態が把握できます。