第1131回:診療報酬の20改定を考える(その3)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。
2020年5月17日付(第1848号)に掲載した、「診療報酬の改定」を考える(その2)の前半です。

4月から医療保険の定価にあたる、診療報酬改定が行われました。その特徴と今後の厚労省の狙いについて、しばらく触れます。

厚生労働省の「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」の初会合が2018年10月22日に開催されました。

その中で、2019年「10月の消費税率の引上げによって、2025年を念頭に進められてきた社会保障・税一体改革が完了」したとし、「今後、団塊ジュニア世代が高齢者となる2040年を見据えた検討を進めることが必要」と指摘しました。

2040年を見通すと、担い手である現役世代が減少する一方、高齢者は従来に比し、「若返り」が見られるとしています。

文部科学省の「平成28年度体力・運動能力調査」によれば、65歳から79歳の高齢者における握力、上体起こし、開眼片足立ち、10m障害物歩行、6分間歩行などの体力は年々向上傾向が認められています。

男性でも女性でも、2016年の「70歳から74歳」の新体力テストの点数は、1998年の「65歳から69歳」の点数を上回っています。同じく2016年の「75歳から79歳」の点数は男女とも1998年の「70歳から74歳」を上回っています。体力面でみると約20年間で5歳程度若返っていることになります。

また、内閣府のアンケート調査で、「高齢者とは何歳以上か」という質問に対し、1998年度は「75歳以上」または「80歳以上」と答えた人を合わせて24.4%だったのに対して、2012年度には合わせて36.5%と増加しています。