第1118回:新型コロナ感染症と医療機関の経営危機

新型コロナ感染症は、多くの医療機関に経営上の影響を及ぼしています。

5月18日に、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会が、新型コロナウイルスの患者を受け入れている病院の利益率が平均で10%を超える赤字に転落したことを公表しました。加盟する4332病院を対象に調査、有効回答があった1049病院の4月の利益率はマイナス9・0%。前年同月のプラス1%から10ポイントの悪化でした。このうち新型コロナの患者を受け入れた269の病院は、利益率がマイナス11・8%で、悪化幅もさらに大きいのが特徴です。

4月の外来の初診患者数は1年前と比べて4割減。コロナ患者を受け入れた病院では4月の病床利用率が67・1%と1年前より10ポイント以上落ち込んでいます。報道によれば、患者側が感染を避けるために通院を控えたことや、病院側がコロナの感染患者を個室に入院させ、使えるベッドの数が減ったなどの事情があるとみられています。

大学病院関係者らもこの日会見し、全国80の大学病院で今年4月の状況を元に試算すると通年では5千億円の減収になるとの推計を発表、日本医師会の横倉義武会長らはこの日、安倍晋三首相と面会してこの推計を伝えましたが、首相は「大学病院をつぶすことはしない」と述べたのみでした。

せめて、昨年の4月並みの診療報酬を補填しなければ、夏にかけ資金繰りが困難になる医療機関が続出しかねません。

「アベノマスク」より医療機関への支援を、というのが正直なところです。