第1114回:国民健康保険制度を考える(その19)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2020年3月15日付(第1842号)に掲載した、「国民健康保険制度を考える」(その10)の前半です。

はじめに、前回(第1103回・1104回)の要旨です。国保は財政基盤が弱いため、国からの補助金なしには成立しない。しかし、国の支出はどんどん減らされた。そのため、多くの自治体では一般会計からの「法定外繰入」を行ってきた。国は、国保の都道府県化にあたり、この法定外繰入をやめさせようとしている、ということになります。

18年1月厚労省は、保険局国民健康保険課長名で、都道府県の国民健康保険主管課(部)長宛に「国民健康保険保険者の赤字削減・解消計画の策定等について」(保国発0129第2号)という通知を出しました。

それによると、「都道府県及び市町村……において財政収支の改善等について検討を行うとともに、市町村は、赤字についての要因分析(医療費水準、保険料設定、保険料収納率等)を行い必要な対策について整理すること」としました。

具体的には、「市町村赤字削減・解消計画」として、「赤字削減・解消のための基本方針、具体的な取組内容(保険料率の改定、医療費適正化、収納率向上対策の取組等)を定めるとともに、赤字削減の目標年次及び年次毎の計画を定める。計画年次については、その年次の赤字の削減予定額又は削減予定率(削減すべき赤字額全体に対する削減予定額の占める割合をいう)を定める。……なお、赤字の削減・解消に当たっては、被保険者の負担水準に激変が生じないような時間軸を置きつつ、実現可能な削減目標値と具体策を十分に検討するものとする」としました。

この通知に基づき、法定外繰入を行っている市町村では、いっせいに国保料値上げ計画を策定し始めました。

さらに骨太方針等に基づき、法定外繰入等の早期解消を図るために、2020年度の保険者努力支援制度を作り、交付金を削減するペナルティーを課す予定です。