第1104回:国民健康保険制度を考える(その17)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2020年2月16日付(第1839号)に掲載した、「国民健康保険制度を考える」(その9)の前半です。

今回は、高すぎる国保料、払いきれない国保料について触れます。

20年度から高松市が、国保会計の赤字を理由に国保料を大幅に値上げすることが問題になっています。

もともと、国保は財政基盤が弱いため、国からの補助金なしには成立しない制度でした。ですから、国保会計の収入構成は、61年をとると国庫支出金が42.8%、保険料が44.4%、その他が12.8%となっていました。75年には国庫支出金は58.5%まで増えました。

84年10月から退職者医療制度が実施され、それに伴い国庫補助率が改正され、85年は45.0%に減少しました。

97年に老人保健法が改正され外来の一部負担金が1月1020円から1日500円(月4回まで)になりましたが、この時に国庫支出金は35.6%、その後も下がり続け05年は31.0%、07年は25.7%になりました。

その後も国庫支出金は減り続け、17年度は21.1%になっています。

17年度の市町村国保の財政は、保険料が19.8%、国庫支出金は21.1%、前期高齢者交付金が22.5%、都道府県支出金が4.5%、共同事業交付金が20.3%、その他が11.8%となっています。

自治体会計は基本的な公共サービスを行うための一般会計と、それ以外の特別会計があります。国保財政は特別会計にあたります。この二つの会計間で予算を組むうえで移動させることがあります。この移動には、法令を根拠として行う法定繰入と、そうではない法定外繰入があります。

国保会計への国庫補助が、先に述べた通り減らされてきましたから、保険料が増加していきました。そこで、保険料軽減や、赤字決算を補填するために、多くの自治体が法定外繰入を行って来ました。

※国保料・税は国保料。保険料・税は保険料と記載しました。