第1103回:後期高齢者医療保険の自己負担の2倍化はやめるべきです(その2)

3月10日付(第1102回)で、後期高齢者の原則1割担を原則2割に、2倍に引き上げることは問題があると指摘しました。

2019年12月19日に、全世代型社会保障検討会議が明らかにした「全世代型社会保障検討会議中間報告(案)」によれば、「後期高齢者の自己負担割合の在り方」として、以下のように述べています。

・70歳までの就業機会確保や、年金の受給開始時期の選択肢の拡大による高齢期の経済基盤の充実を図る取組等に併せて、医療においても、現役並み所得の方を除く75歳以上の後期高齢者医療の負担の仕組みについて、負担能力に応じたものへと改革していく必要がある

・団塊の世代が75歳以上の高齢者となり、現役世代の負担が大きく上昇することが想定される中で、現役世代の負担上昇を抑えながら、全ての世代が安心できる社会保障制度を構築する

・後期高齢者(75歳以上。現役並み所得者は除く)であっても一定所得以上の方については、その医療費の窓口負担割合を2割とし、それ以外の方については1割とする

としました。

厚生労働省保険局調査課が2019年12月に公表した「医療保険に関する基礎資料 ~平成29年度の医療費等の状況~」によれば、後期高齢者の負担を現役世代と比較すると、

・1人あたりの患者負担額は1.7倍

・1人あたりの入院診療費は、6.6倍

・1件あたりの入院日数は、1.4倍

・100人あたりの入院件数は、6.2倍

になっています(「しんぶん赤旗」作成)。

後期高齢者の負担割合と、現役世代の負担割合だけを取り出して比較するのは「公平」ではないといえるのではないでしょうか。低年金による収入減、複数の疾患を持ち窓口負担が1割といえども、多数の疾患を有する後期高齢者の負担は、今でも多いものです。

後期高齢者の原則2割負担化は行うべきではありません。