第1055回:国民健康保険制度を考える(その3)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年7月21日付(第1819号)に掲載した、「国民健康保険制度を考える」(その2)の前半です。

さて、しばらく「国民健康保険制度」(以下、国保)について、考えていきたいと思います。

社会保険庁(※)は廃止される直前まで発行していた、「社会保険の手引き」の中で、日本の社会保険の特徴は5つあると説明しています。

①勤労国民の相互扶助を目的とする

②勤労者の福祉に対する企業主の責任を果たす

③国が責任をもって運営する

④法律で加入を義務付ける

⑤所得に応じて保険料を負担し、必要に応じて給付を受ける。

これは明らかに生命保険会社や損害保険会社が提供する私的保険とは異なります。

勤労者も負担し、企業も負担し、国も負担するという形になっており、国保の場合は、国民も負担し、自治体も負担することになります。

58年に施行された「国民健康保険法」は、(この法律の目的)として、第一条で「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もつて社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」としています。

「事業の健全な運営を確保」できれば問題はありませんが、確保できない、つまり自治体が大赤字になったら住民負担が際限なく増えてくるという構図になる訳です。
 
 ※社会保険庁は、年金未納や年金記録消失など不祥事が発覚したため、2009年(平成21年)末に廃止され、特殊法人の日本年金機構と全国健康保険協会(協会けんぽ)に業務が移管されました。