第1054回:自己情報のコントロールについて考える

就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、サイトを利用していた就活学生の「内定辞退率」を、人工知能(AI)をもとに予測し、38社に有償で提供していたことがわかりました。

利用者のサイト閲覧内容を、企業に有償で、つまりリクルートキャリア社の金もうけの道具として利用することがあるということは、同意を得ていません。このことは、IT時代の危うさを示すと同時に、金で情報を買っていた38社の企業倫理にも大きな疑問を持つ問題です。

医療福祉生協は、「医療福祉生協のいのちの章典」で、<自己情報のコントロールに関する権利>として、「私たちは、個人情報が保護されると同時に、本人の同意のもとに適切に利用することができるようにします」としました。

この事件を予測したわけではありませんが、個人の様々な情報(自己情報)を利用することは個人の同意のもとに行うべきであるという、私たちのスタンスを明確にしたものです。

こういう事件が起きた今、「いのちの章典」の内容を多くの人たちに知ってもらう必要があるのではないか、金で情報のやり取りをする企業倫理、今回でいえばリクルートキャリア社、情報を買った38社の倫理上の問題を問うていく必要があると思います。