第1036回:診療報酬にみる「入院から在宅へ」の流れ(25)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年5月19日付(第1814号)に掲載した、「入院から在宅へ」の流れを考える(その13)の後半です。

「生活困窮者」とは何かというと、18年3月30日発出の「疑義解釈資料の送付について(その1)」によれば、「生活困窮者とは、生活困窮者自立支援法第2条第1項(※)の生活困窮者(現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者)をいうが、具体的な判断は、個々の患者の状況に応じて対応されたい」となっています。

施設基準では、「入院前支援を行う担当者を病床規模に応じた必要数、入退院支援部門に配置すること」が求められます。

従来の退院支援加算では、要件の厳しい退院支援加算1の場合、入院後3日以内に退院困難な要因を有する患者を抽出し、7日以内に患者・家族と面談し、カンファレンスを実施することになっていました。

今回改定では、入院の予定が決まった患者に対し、入院中の治療や入院生活に係る計画に備え、入院前に必要な支援を行い、入院中の看護や栄養管理等に係る療養支援の計画を立て、患者及び関係者と共有すること、になり、入院時支援加算が算定できます。

緊急入院の場合は、入退院支援加算は算定できるが、入院時支援加算は、当然ながら算定できません。

入院前の必要な支援とは、①身体的・社会的・精神的背景を含めた患者情報、②褥瘡に関する危険因子の評価、③栄養状態の評価、④持参薬の確認、⑤入院中に行われる治療・検査の説明、⑥入院生活の説明、⑦退院困難な要因の有無の評価です。

また、退院時共同指導についても、医師、看護職員以外の医療従事者が共同指導する場合も評価対象とする、と変更され、「地域において当該患者の退院後の在宅療養を担う保険医療機関の保険医又は当該保険医の指示を受けた看護師等、薬剤師、管理栄養士、理学療法士等若しくは社会福祉士が、患者の同意を得て、退院後の在宅での療養上必要な説明及び指導を、入院中の保険医療機関の保険医、看護師等、薬剤師、管理栄養士、理学療法士等又は社会福祉士と共同して行った上で」と変更になり、これまでより利用しやすくなりました。


※生活困窮者自立支援法の第3条1項の誤りです
ちなみに第3条1項は、この法律において「生活困窮者」とは、就労の状況、心身の状況、地域社会との関係性その他の事情により、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者をいう、となっています。