第1034回:診療報酬にみる「入院から在宅へ」の流れ(24)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年5月19日付(第1814号)に掲載した、「入院から在宅へ」の流れを考える(その13)の前半です。

2018年5月から、「入院から在宅へ」の流れを考えると題し、診療報酬の18改定で、入院日数を短くするための仕組みの「退院支援」が「入退院支援」と変更されたと書き、その理由や背景について考えてきました。過去の経緯も含めて振り返っていたら、この内容での連載が一年経過しました。今回は18改定の狙いについて触れます。

18年3月5日に開催された18改定の説明会で、厚生労働省保険局医療課長は、「病気になり入院しても住み慣れた地域で継続して生活できるよう、また、入院前から関係者との連携を推進するために、入院前からの支援の強化や退院時の地域の関係者との連携を推進するなど、切れ目のない支援となるよう評価を見直す」ことになったと説明しました。

そのため、①退院支援加算は、入院早期から退院後までの切れ目のない支援を評価していることから、加算の名称を「入退院支援加算」に見直す。②入院を予定している患者が入院生活や入院後にどのような治療過程を経るのかをイメージでき、安心して入院医療を受けられるような、より優しく丁寧な医療を推進する観点から、外来において、入院中に行われる治療の説明、入院生活に関するオリエンテーション、持参薬の確認、褥瘡・栄養スクリーニング等を実施し、支援を行った場合の評価を新設する。としました。

入院早期からでは対応が遅くなるので、可能な場合は入院前から対策しようというわけです。

入退院支援の対象となる患者は、①悪性腫瘍、認知症又は誤嚥性肺炎等の急性呼吸器感染症のいずれか、②緊急入院、③要介護認定が未申請、④虐待を受けている又はその疑いがある、⑤生活困窮者、⑥入院前に比べADLが低下し、退院後の生活様式の再編が必要・排泄に介助を要する、⑦同居者の有無に関わらず、必要な養育又は介護を十分に提供できる状況にない、⑧退院後に医療処置が必要・入退院を繰り返している、であり、今回から④と⑤が追加になりました。

(次回に続く)