第1031回:診療報酬にみる「入院から在宅へ」の流れ(22)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年4月21日付(第1811号)に掲載した、「入院から在宅へ」の流れを考える(その12)の前半です。

16改定では、改定の基本的視点の2番目に、「患者にとって安心・安全で納得できる効果的・効率的で質が高い医療を実現する視点」があげられました。具体的には、「患者にとって、医療の安心・安全が確保されていることは当然のことであるが」「第三者による評価やアウトカム評価など客観的な評価を進めながら、適切な情報に基づき、患者自身が納得して主体的に医療を選択できるようにすることや、病気を治すだけでなく、『生活の質』を高める『治し、支える医療』を実現することが重要である」としています。

「質の高いリハビリテーションの評価等、患者の早期の機能回復の推進・質の高いリハビリテーションの評価など、アウトカムにも着目した評価を進め、患者の早期の機能回復を推進」する目的で、診療報酬に「成果主義」が持ち込まれました。

「アウトカム」とは、成果を意味しますが、診療報酬の点数項目に最初に取り入れられたのは08年で、回復期リハビリテーション(以下、回リハ)入院料に対して、重症患者の受け入れ割合とADL(日常生活動作)の改善度、在宅復帰率を対象として試行的に導入されたのが最初です。

16改定では、回リハ入院料に対して、リハビリテーション(以下、リハ)の効果に係る水準が一定に達しない医療機関は、保険で請求できる上限額が決まってしまう制度が導入されました。

リハビリの実績(効果)が一定の水準を下回る場合、1日6単位以上の疾患別リハビリ料は回リハ病棟の入院料に含められるというもので、要するに6単以上はいくらやっても保険請求できないということになります。

今回、このリハの実績の評価基準に、FIMが用いられることになりました。FIMとは、「Functional Independence Measure」の略語で、「機能的自立度評価法」のことです。実際の日常生活動作等を評価するため、変化を確認するのに最適とされています。

(次回に続く)