第1030回:高すぎる薬価を考える(その3)

本欄第1029回(4月23日付)の続きです。「全国保険医新聞」の4月15日号の記事から引用します。

高すぎる薬価について、全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長の発言です。天野さんは、悪性リンパ腫に罹患、抗体医薬品の一つである「リツキシマブ」などの新しい治療薬で「命を救われた」一人です。

保険適用されれば高額療養費制度で自己負担額には上限が設定されます。しかし、あまりに薬価が高い場合、保険給付の制限につながることも懸念されます。

「なぜ薬はこれほど高くなるのか、素朴に疑問です。製薬企業が適正な利益を得ることは理解できますが、あまりに高い薬価が付く理由について十分な説明がなされていないのが現状ではないかと思います」と語っています。

薬価を決めるときは、似たような薬、「類似薬」をもとに算定します。類似薬がないときには、新規医薬品として、製造経費・研究費・営業利益など必要経費を積み上げる「原価計算方式」を参考にして決定されます。

問題は、これらの数値が「企業秘密」を盾にして非公開であり、議事録の作成もありません。2018年4月からは「市場拡大再算定」、わかりやすく言うと「バカ売れしたら安くする」というルールができましたが、薬価を決定するプロセスが明確になった訳ではありません。

薬価算定を透明にする仕組みづくりが求められています。