昨年の8月24日の本欄第988回で「高すぎる薬価を考える(1回5千万円の薬剤について)」と題して、米国で1回当たりの治療費が5千万円を超える薬剤がでてきた、この薬剤が「そのまま日本でも適用されるなら、日本の保険制度は確実に破たん」「米国の薬価を元に日本の薬価が決められるようでは、日本の医療保険制度が崩壊する危険が大きい」と指摘しました。
3月27日に開催された第411回中央社会保険医療協議会(以下、中医協)では、「再生医療等製品の医療保険上の取り扱いについて」の項で、上記の、難治性の白血病などに効果が認められるとされる「キムリア」と、難治性の慢性動脈閉塞症に効果が認められるとされる「コラテジェン」が医薬品として承認されました。
「医薬品として承認」というのはややこしい言い方ですが、14年11月5日に開催された第285回中医協で、 再生医療等製品の保険適用に関する当面の間の対応については、「保険適用の希望のあった個別の製品の特性を踏まえ、医薬品の例により対応するか、医療機器の例により対応するかを、薬事承認の結果を踏まえて判断」することになっているためです。
後者の「コラテジェン」の薬価についてはわかりませんが、前者の「キムリア」については問題視されています。
米国の薬価を参考にするなら、5千万円が参考になりますが、研究機関での製造費用は100万円以下(名古屋大学名誉教授・小島勢二医師)で製造できるとされており、治験や副作用の確認などに費用が掛かるとしても少し差が大きすぎるのではないかと思います。
薬価を決めるプロセスについて、公開し明らかにしていく必要があるのではないでしょうか。
全国保険医団体連合会が発行する全国保険医新聞の4月15日号の記事を参考にしました。