第1012回:診療報酬にみる「入院から在宅へ」の流れ(15)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2018年12月16日付(第1800号)に掲載した、「入院から在宅へ」の流れを考える(その8)の後半です。

(前号より続く)

「退院調整加算2」は30日以内なら800点、31日以上90日以内なら600点(以下略)で、こちらは医療機関へ転院した場合には算定できませんから、何が何でも施設を含む自宅へ退院を迫るものとなっています。

さらに、前回触れた「地域連携診療計画」と同様の内容の計画を作成し、他院後の診療や訪問看護等について文書で患者・家族に説明し、在宅医療を担う医療機関と共有した場合、「地域連携計画加算」300点が算定できます。

また、高齢者などの身体機能の評価を行う「総合評価加算」の点数引上げや、これまで一般病棟等が算定対象だったのを療養病棟にも広げ、細やかな計画を策定できるように変更が行われました。

12改定のもう一つの特徴は、訪問看護ステーションが大きく位置づけられたことです。

先述した、「地域連携計画加算」への位置づけのほか、本誌6月号でふれた、「退院時共同指導」について、従来は、「在宅療養を担う医療機関等との共同指導(訪問看護ステーションとの連携では算定不可)」(※)とされていたものが、医療機関と訪問看護ステーションとの連携について評価を行うとして、「訪問看護ステーションと行った場合にも」算定が可能になりました。

入院患者の試験外泊時における訪問看護も評価されるようになりました。

訪問看護は週3回までという縛りがありますが、終末期や病状の急性増悪時に医師が「特別指示」を行えば、医療保険で週4回以上の訪問看護が可能ですが、その要件に「退院直後」が追加されました。つまり、病状が不安定な状態で退院した時にも対応が可能になる訳です。

介護認定を受けている方が訪問看護を利用する場合は、介護保険が優先しますが、医療保険の中でも訪問看護ステーションが大きく位置づけられた改定になっています。

※訪問看護ステーションが、病院に行って共同で指導した場合、「退院時共同指導加算」が算定できましたが、これはあくまで介護保険内での評価でした。