第1005回:診療報酬にみる「入院から在宅へ」の流れ(11)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2018年10月21日付(第1794号)に掲載した、「入院から在宅へ」の流れを考える(その6)の後半です。

また、08年から、後期高齢者や療養病棟・病床に入院中の患者等を対象に、「退院調整加算」が新設されます。退院困難な要因を有する入院中の後期高齢者で在宅での療養を希望するものや、療養病棟等に入院する患者で在宅療養を希望するものが対象とされます。

病院では、入院患者の退院に係る調整・支援に関する部門が設置されており、専従の看護師又は社会福祉士が1名以上配置されていること等が条件で、

(1) 入院早期に、退院に関する支援の必要性の評価を行っていること

(2) 支援の必要性が高い患者について、具体的な支援計画を作成すること

(3) 支援計画に基づいて患者又は家族に支援を行うこと

などが求められます。

また、06年には後期高齢者に対する「総合評価加算」が新設され、「病状の安定が見込まれた後できるだけ早期に、患者の基本的な日常生活能力、認知機能、意欲等について総合的な評価を行った場合に入院中1回に限り」50点を加算するというものです。

総合的な機能評価を踏まえ、退院困難な要因があるとされたものに対して、その要因の解消等を含めた退院支援計画を策定し退院調整を行うことを評価するために、先述の退院調整加算が設定されています。

高齢者の総合評価は、具体的に明記はされていませんが(こういったところが現場に混乱をもたらす原因なのですが)一般的には、「高齢者総合的機能評価(CGA)」が用いられています。

具体的には、以下の通りです。

1)日常生活活動度(歩行、排泄など)

2)家庭での生活手段の自立(料理など)

3)物忘れ、認知症の程度

4)精神行動異常の程度

5)抑うつなど気分障害、意欲

6)家族の介護能力、介護負担

7)在宅環境・社会サービス利用

これらを総合的に評価し、個人の生活や個別性を重視した医療・ケアを選択するという手法です。