第997回:生活保護基準の引き下げは、全世代の福祉制度に影響を及ぼします

この10月1日から、安倍政権は生活保護制度のうち、食費や光熱費など日常生活費に充てる「生活扶助」の支給基準を引き下げました。生活保護利用世帯の約7割で引き下げが行われることになります。

生活保護制度による扶助は、生活扶助:日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱費等)、特定の世帯には母子加算等があります。そのほか、住宅扶助:アパート等の家賃、教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品費など、医療扶助、介護扶助など細かく定められています(※)。

18~20年の毎年10月に段階的に生活扶助が引き下げられ、全て実施されれば、国と地方合わせて年210億円が削減されることになります。

都市部の高齢単身世帯や子どもが多い世帯は影響が大きく、減額幅は最大5%。都市部の「40代夫婦と子ども2人(小・中学生)の世帯」の場合、最終的には受け取る生活扶助費が年10万円以上も少なくなります。

安倍政権は、12年以来生活保護制度の基準を相次いで変更し、その額は年1270億円にのぼります。

生活保護基準は、憲法25条に定める「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を定めるものであり、最低賃金、就学援助、年金、介護、保育・福祉サービス等の給付、税金、保険料、利用料等の負担に連動しますから、子どもから現役労働者、高齢者まで国民生活に大きな影響を与えます。

生活保護基準の引き下げは、国民の「健康で文化的な最低限度の生活」を引き下げるものであり、反対です。

※詳細は、厚労省のHPを参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/
hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/index.html