第992回:診療報酬にみる「入院から在宅へ」の流れ(7)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2018年8月19日付(第1788号)に掲載した、「入院から在宅へ」の流れを考える(その4)、の前半部分です。

今回は、退院促進の流れを作るための、大病院と中小病院や診療所の連携をどのように作るか、という点での仕組みづくりについて触れます。

入院日数を短くするためには、そもそも入院時点でいかに早く退院へ持っていくかという計画がなければスムーズに事は運びません。さらに、その前提として退院後の行先を明確にしておく必要があります。

自院に通院可能な方なら問題はありませんが、遠方に住んでいるので通院困難である、自力では通院できない、そもそも要介護状態で往診が必要、施設に入るなど様々なパターンがあります。

そこでまず、大病院と地域の中小病院や診療所との連携をどう作るかが問題となります。

1992年の第2次医療法改正で、大学病院や国立がんセンター・循環器病センターを対象とした、「特定機能病院」が制度化されました。条件として、500床以上の病床を持つ(2004年の改正で400床以上に変更)、高度の医療サービスの提供、高度の医療技術の開発能力などの機能を有する、他の病院や診療所からの紹介患者の受け入れを特徴とする、と定められました。

この時から、「紹介率」の考えが初めて導入されました。その後、特定機能病院の主な承認要件として、紹介率30%以上を維持することが求められるようになります。

第3次医療法改正(1997年)により、地域医療支援病院が新たに設定されました。地域の中小病院や診療所などを後方支援する目的で、イメージとしては公立の大病院(例えば県立中央病院など)の機能分化を目的に創設された制度です。二次医療圏当たり一つ以上存在することが望ましいとされています。

・病院の規模は原則として病床数が200床以上の病院であること

・他の医療機関からの紹介患者数の比率が80%以上(承認初年度は60%以上)であること、または紹介率が65%以上で逆紹介率が40%以上であること、または紹介率が50%以上で逆紹介率70%以上であること

・他の医療機関に対して高額な医療機器や病床を提供し共同利用すること

・地域の医療従事者の向上のため生涯教育等の研修を実施していること

・救急医療を提供する能力を有すること、などが要件とされました(現在は少し要件が変わっていますが、ここでは省略します)。

(以下、次号)