第962回:全世代直撃の社会保障改悪(その9)診療報酬の4月改定の問題点をさぐる(4)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2018年3月18日(第1773号)に掲載した、「診療報酬の4月改定の問題点をさぐる(その2)」の後半部分です。一部修正しています。

(承前)

入院では、厚労省がこれまで唱えてきた、2025年には高度急性期18万床、一般急性期35万床、亜急性期等26万床、長期療養28万床に再編する計画に近づけるための改定となっています。

急性期医療を担う病棟として、現行の7対1、10対1入院基本料を、「急性期一般入院基本料」とし7段階に分け、急性期医療から長期療養を担う病棟として、現行の13対1、15対1入院基本料を地域一般入院基本料とし3段階に、地域包括ケア病棟入院料を4段階に、回復期リハビリテーション病棟入院料を6段階に分け、長期療養を担う病棟として、療養病棟を20対1療養病棟入院料2段階と経過措置病棟2段階に分け、再編統合します。

長期入院が可能な療養病棟は、20対1配置が原則とされ、医療区分2・3(わかりやすく言うと、1が比較的軽症、3が重症)の割合8割以上が入院料1(1が点数が高い)、5割以上が入院料2となります。

看護師が少ない25対1配置は、医療区分2・3の割合5割以上でも現行点数の10%減額とされ、5割未満なら現行点数の20%減額とされます。25対1配置の最終的な経過措置の終了時期は次期改定時に改めて検討することとしていますが、地域における療養病床の役割は重要であり、地域医療に大きな混乱をきたす可能性があります。

一般病棟も療養病棟も看護必要度などの指標が報酬評価の大きなウエイトを占めるようになり、「実績」を出すための運営が迫られることになります。これで、患者に必要な医療・看護が本当にできるのか、「実績」や「結果」に結びつかないと判断された患者の選別が起こらないかが危惧されます。

回復期リハビリ病棟でも、リハビリの「効果」を示す実績指数や、重症者の割合、回復割合、自宅等退院割合、看護師の配置比率や社会福祉士の配置などにより6段階の報酬区分となっています。また、地域包括ケア病棟入院料の基本報酬も、現行より20点引き下げられ、看護必要度、在宅復帰率、病室の面積、看護師等の配置によって4段階の報酬区分となります。

アウトカム(「実績」)評価や在宅復帰率などの要件は、場合によっては患者の選別も起こりかねないもので、誰でもが持つ医療を受ける権利をどう保障するか、という点で大きな問題があると思います。