第961回:全世代直撃の社会保障改悪(その8)診療報酬の4月改定の問題点をさぐる(3)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2018年3月18日(第1773号)に掲載した、「診療報酬の4月改定の問題点をさぐる(その2)」の前半部分です。一部修正しています。

医療保険の定価を決める診療報酬改定は、2月7日に開催された第389回中医協(中央社会保険医療協議会)で改定案がまとめられ即日答申されました。

リハビリテーション(以下、リハビリ)については、厚労省の方針は、急性期は医療保険で、慢性期は介護保険に移していくことです。この間改定のたびにやり玉に挙がってきました。そのため大変複雑な構造になっています。

リハビリは、現在、心筋梗塞や狭心症など心疾患を対象にする心・大血管疾患リハビリ、肺気腫など慢性閉塞性肺疾患(COPD)など呼吸器疾患等に対する呼吸器リハビリ、整形外科疾患等に対する運動器リハビリ、脳梗塞や脳出血など脳血管障害等に対する脳血管疾患等リハビリ、長期臥床等で自力で動くことが困難になったなど廃用症候群に対するリハビリに分けられます。

それぞれについて、リハビリを行う日数が定められています。この算定日数上限を超えた患者については、ごく一部の例外を除き、「維持期リハビリ」と呼ばれます。外来患者で、要介護・要支援者の維持期リハビリを医療保険で行えるのは、19年3月末までとされ、19年4月以降は介護保険に移行されることになりました。

現在リハビリを行う時に、計画を作り実施したことに対する評価として「リハビリテーション総合計画提供料」がありますが、今回の改定で、「リハビリテーション計画提供料」と名称を変更し、医療機関に紹介する時と介護保険のリハビリ事業所に紹介する時に3倍近い差をつけました。先ほど触れた算定日数の3分の1を超えた時点で、介護保険の事業所に紹介すると医療機関の収入が増える仕組みを作ってしまいました。

しかし、介護保険の事業所では、「リハビリ専門職の人員確保が困難」、「介護保険でのリハビリは介護報酬低く採算が採れない」など、大量の「リハビリ難民」を生み出しかねない可能性があります。

そもそもリハビリは、医師の診断・指示に基づく治療行為の一環であり、患者の病態に応じた対応が必要であり、リハビリは医療保険で行うべきです。